カメラ×AI活用で歯間のフロスケアが可能 ダイソンの「次世代電動歯ブラシ」とはイノベーションのレシピ(1/2 ページ)

Dyson(ダイソン)は、2026年9月1日に発売した新製品「Dyson CameraJet(ダイソン カメラジェット)フロッサー付き電動歯ブラシ」の詳細について説明した。同製品は歯を磨きながら、ヘッド部分に組み込まれた機械学習によって制御される10万ピクセルのマクロレンズカメラが歯間をリアルタイムで捉え、必要な箇所に正確にマウスウォッシュをジェット噴射できる。

» 2026年09月24日 07時15分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 Dyson(ダイソン)は2026年9月2日、東京都内で会見を開き、同月1日に発売した新製品である「Dyson CameraJet(ダイソン カメラジェット)フロッサー付き電動歯ブラシ(以下、Dyson CameraJet)」の詳細について説明した。同製品は歯を磨きながら、ヘッド部分に組み込まれた機械学習によって制御される10万ピクセルのマクロレンズカメラが歯間をリアルタイムで捉え、必要な箇所に正確にマウスウォッシュをジェット噴射できる。カメラの映像は専用アプリを通じてリアルタイムで確認可能だ。

ダイソンのスティーブン・オン氏。オン氏の手には「Dyson CameraJet」[クリックで拡大] 出所:ダイソン
Dyson CameraJetのデモンストレーションの様子[クリックで再生]

ダイソンがオーラルケア市場に参入した理由

 オーラルケアで多くの人が見落としているのは歯間の磨き残しである。ここを起点に虫歯などの口腔内トラブルが発生し、歯垢が最初に形成されて蓄積していく場所でもある。そのため、重点的なケアが求められる。

 世界保健機関(WHO)の2025年版「Global Oral Health Fact Sheet」によると、世界では約37億人が口腔疾患の影響を受けていると推定されている。また、口腔内の健康状態は、心疾患やアルツハイマー病をはじめとする全身の健康状態とも関連していることが、近年ますます認識されるようになっている。

口腔内疾患による影響[クリックで拡大] 出所:ダイソン

 Dyson Singapore ヘッド・オブ・デザインエンジニアリングのSteven Ong(スティーブン・オン)氏は「オーラルケアにおいて多くの人がフロスが大事だと理解しているが、同時に面倒くさいことだと思っている。世界中で口腔疾患が話題となる中、歯ブラシやウオーターフロスといったテクノロジーは1960年代から大きく変わっていない。このことを踏まえて、新たな視点でダイソンならではの技術によってオーラルケアを刷新し、ゲームチェンジャーとなるような製品を展開して、オーラルケアをより便利に/心地よくしたい」と語る。

Dyson CameraJetの外観[クリックで拡大]

Dyson CameraJetのコア技術「Gap Optical Targetingテクノロジー」

 Dyson CameraJetに搭載されている10万ピクセルのマクロレンズカメラは、ダイソン独自のAI(人工知能)機械学習アルゴリズム「Gap Optical Targetingテクノロジー」によって制御されている。毎秒28枚の画像をリアルタイムで解析し、歯と歯の隙間を検知する。そして、カメラが歯間を捉えてから0.1秒以内に、その箇所へマウスウォッシュをジェット噴射する。円すい状に広がるジェット水流により、ブラッシングと同時に効果的な歯間ケアを可能にした。

 オン氏は「カメラの部分にはドーム型のデザインを取り入れることで、ブラッシングの際に発生する泡の付着を抑えている。これにより、カメラが歯と歯の間を容易に検知できるようになる。また、開発期間中に40万以上の歯の画像を集め、機械学習に活用している」と説明する。

ヘッド部分の外観[クリックで拡大] 出所:ダイソン

ダイソン独自の水流噴射技術「コニカルジェット」を搭載

 ダイソンは歯垢をより効果的に除去するために、流体力学分野のエンジニアを中心に長年にわたりジェット水流の形状最適化に取り組んできた。歯垢除去性能を正確に評価するために、同社はシンガポール国立大学の歯学部と5年間に及ぶ共同研究を実施し、人工の歯垢を開発した。同歯垢を用いて設計変更が発生するたびに臨床試験を実施することなく、エンジニアは迅速に検証と改良を重ねていき、歯垢除去性能の向上に努めた。

 従来のウオーターフロッサー(口腔洗浄器)で使用されることが多い、鋭く直線的な層流を噴射する針状のジェット水流では、ダイソンが人工歯垢を活用して実施した試験の中で、歯垢を突くように点で捉えるものの、粘着性のある歯垢を十分に除去することはできなかったという。このことを踏まえダイソンは円すい状のジェット技術を開発し、Dyson CameraJetに搭載した。同技術は広い範囲を一度に洗い流すことで歯垢を効果的に除去して、より低い圧力で作動するよう設計されているため、歯ぐきやエナメル質への負担を抑える仕様となっている。

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