工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。前回から紹介している事務的業務の分析手法のうち、今回は「自己申告法」と「帳票分析法」という2つの分析手法について説明する。
今回は、事務的業務の分析手法のうち、前回の「職務分析法」と「生活分析法」に続き、事務業務の分析手法である「自己申告法」と「帳票分析法」について説明します。なお、最後に残った「情報の流れ分析法」は次回に持ち越したいと思います。
自己申告法(Self-Reporting Method)は、調査対象者に、調査期間中に発生した自分の業務内容や所要時間などを記録して報告してもらう手法のことです。業務改善を主な目的として、「見えない仕事」を可視化するためによく活用され、業務分析の中でも非常に重要な手法です。
調査の対象者が自分の業務を1日〜1週間以上記録し、業務内容の実態を分析する手法ですので、手法としては前回の「生活分析法」とおおむね同じですが、主として間接業務の分析に適用されています。用途としては、間接業務の効率向上、間接人員の削減、業務のアウトソーシング化の意思決定、間接業務の標準時間(ST:Standard Time)の設定などが挙げられます。
自己申告法は、主に次の2つの方法があります。これらのうち、比較的情報精度の高い「作業日誌法」が多く用いられます。
調査対象者の1日に発生する業務を例えば、「9:00〜9:30 職場巡回」というように、時系列に捉えて記録していく方法です。発生頻度が低い業務が明らかになるメリットもありますが、記述内容が曖昧になりがちでもあります。
発生するであろう業務を事前に洗い出して、業務リストを作成し、それぞれの業務の遂行に月当たり何時間を費やしているかをアンケート用紙に回答する方法です。短期間で多くの人たちからデータを収集することができますが、回答の精度にバラツキが出やすくなります。
一般的に、自己申告法は表1の手順で行います。調査対象者が自らの業務項目について申告する方法ですので、現状の実態を最も直接的に把握することができます。
この調査方法は、行動の観察やコミュニケーションだけでは把握しきれない本人の実情をさらに可視化するため、業務改善や人材の適所配置、人材の育成などにも役立てられます。調査に当たっては、このような活用面を踏まえた項目設定や調査方法などを考慮することが望ましいとされています。
自己申告法は、調査対象の本人だけが分かることも引き出せる半面、あくまで自己申告の情報であるが故に正確性にやや欠けるという難点があります。
利点としては、多数の人たちのデータを一度に収集できる、思考を伴う業務や不定期に発生する業務も把握できる、などが挙げられます。
一方、仕事量や所要時間を多めに記述しがちになる、業務内容や所要時間を記述することが負担に感じることで内容の客観性や正確性に欠ける、といった難点も承知しておかなくてはなりません。
自己申告法による分析時の留意点としては、業務目的と手段を混同しないことが重要です。例えば、手段が現場巡回で、その目的が進度チェックなら、その目的が分かるような業務名称の表現などについてルールを決めておく必要があり、このことが後々の改善へとつながっていきます。ただ「書いておいて」と丸投げしてしまうと形骸化したデータが集まってしまいますので、以下のような工夫が重要です。
記述する業務項目を「職場巡回」「材料手配」「外注督促」などと、あらかじめ統一しておくこと、これらの項目をコード化して記述することで記述効率を上げることができます。
自己申告法による調査目的は、無駄な業務を削減するためである旨を伝えて全員が共有することが大切です。
全員の自己申告用紙を集めた後、一部の社員にインタビュー法や観察法を組み合わせて、データの妥当性をチェックします。
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