工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。今回の第19回から事務的業務の分析手法に着目。まずは、基礎となる「業務分析」の概要に加え、「職務分析法」と「生活分析法」という2つの分析手法について説明する。
本連載「現場改善を定量化する分析手法とは」では、主として現場作業における分析手法を説明してきました。今回からは事務的業務の分析手法について着目したいと思います。
事務的業務で頻繁に活用される分析手法としては「職務分析法」「生活分析法」「自己申告法」「情報の流れ分析法」「帳票分析法」などがあります。今回は、基礎となる「業務分析」の概要に加え、職務分析法と生活分析法という2つの分析手法について説明します。その他の分析手法は次回に取り上げます。
業務分析(Business Analysis)は、組織の現状を把握することで、課題とその真因を明確にし、解決策を導き出すプロセスをいいます。主として間接業務の現状を「見える化」し、業務のムダや業務の流れ、連携を阻害しているボトルネックを改善するための基盤となる分析法です。特に生産性向上、属人化の解消などに欠かせないプロセスです。
業務分析は、業務フロー、作業時間、役割分担、情報の流れなどを可視化し、体系的に把握することで、以下に挙げられるようなメリットが得られます。仕事の流れを記述していくだけではなく、経営目標と実態に矛盾がないように調整し、一貫性を持たせることが重要です。
職務分析法(Job Analysis Method)では、主として定型業務の職務内容および職務の発生頻度とそのタイミング、職務の遂行時間などの分析を行います。分析結果の効果的な用途としては、業務効率の向上、重複業務の排除、間欠的に発生する断続業務の改善などが挙げられます。
企業活動における職務内容を挙げてみると、例えば、資金調達、資材購入、機械設備/装置の稼働計画、労働力の確保、労働力/機械設備の作業工程への配置、生産活動、製品の販売、販売代金の回収、銀行への預金などがあり、これら一連の業務は分業化されています。そして、個々の業務は部分的労働となり、これに権限や責任が付与されて職務となります。
権限と責任は、経営者層、中間管理職層、管理監督者層、一般職層というように階層別に分化されます。それぞれの職務は、使用する機械設備や原材料、職務遂行の順序、権限と責任、職務担当者の責任と義務、職場環境などが明確化されます。このような職務の明確化を「職務分析」といいます。また、職務分析は労務管理の出発点ともなります。これらの内容は「職務記述書(Job Description)」や「職務明細書(Job Specification)」に記述します。職務明細書は、職務担当者に必要な資格要件について記述したものです。
職務分析(Job Analysis)の内容を説明する前に、職務の定義を明らかにしておく必要があります。「職務(Job)」に関連する言葉として、「仕事(Task)」「職位(Position)」があります。この相違点を明らかにすることが、職務の定義につながります。
まず、仕事は、管理者の計画的業務から現場作業者の直接業務に至る職場活動において、その責任を果たすための努力のことをいいます。つまり、仕事は特定の目的を果たすための人的努力を指します。
次に、職位についてです。職位は、組織における仕事上の地位や担当業務の種類を指す言葉です。具体的には、組織内での権限や責任、業務の範囲を示し、権限の大きさや責任の範囲を表しています。つまり、企業に所属する人たちは、組織活動の一部を割り当てられ、それを遂行するという義務があります。この一人一人に割り当てられた仕事を職位といいます。従って、組織活動が行われているところでは、そこに所属している人数の数だけ職位の数があるということになります。
最後に職務の定義です。簡単に言えば「各人の担当する仕事の性質と種類が全く同一で、求められる要件も全く差のないとき、この一群の職位を一括して職務といいます。例えば、ある管理者に部下が5人いたとします。これらの人たちが全く同じ作業をしているとすると、管理者は別として部下は彼らの職位に割り当てられた仕事の種類、性質と責任の種類などから考えて同一の職務を担当していることになります。すなわち、この職場の部下について考えれば、職位の数は5つですが、職務の数は1つであるといえます。
厚生労働省編さんの「職務分析マニュアル」には、職務分析の基本原則として以下の3つの項目が掲げられています。これらは、従業員の担当している個々の職務の内容を分析して、その職務が本来もっている性格や、組織内の職務間の相互の関連などを明確にし、担当作業者が職務遂行上必要とする諸条件を決めることであるといえます。
このようにして職務の特性を明確にできれば、職務分析の人事管理上の用途は幅広くなり、これらの管理情報は重要な役割を担うこととなります。以上を踏まえて職務分析の目的を分類すると次の通りとなります。職務分析は、労務管理に欠かせない職務を実行する側に対しての基礎的情報を提供する分析手法であるといっても過言ではありません。
職務分析を行う際には、業務の特性に合わせて関係する情報を集めるために、通常は以下の方法を使い分けます。
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