日立製作所が、投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2026」でコネクティブインダストリーズ(CI)セクターの事業戦略について説明。同セクターの新CEOに就任した網谷憲晴氏が登壇し、インダストリー領域におけるフィジカルAI事業のリーディングカンパニーを目指す方針を打ち出した。
日立製作所(以下、日立)は2026年6月10日、東京都内とオンラインで開催した投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2026」において、コネクティブインダストリーズ(CI)セクターの事業戦略について説明した。同年4月1日にCIセクターの新たなCEOに就任した執行役専務の網谷憲晴氏が登壇し、インダストリー領域におけるフィジカルAI(人工知能)事業のリーディングカンパニーを目指す方針を打ち出した。
網谷氏は日立において鉄道事業からキャリアをスタートし、海外の交通システム事業をリードするなど実績を上げ、鉄道ビジネスユニット(BU)のCOOに就任しグローバルな鉄道事業の経営を指揮した。その後、本社の経営企画室長として全社的な経営戦略に携わり、ビルシステムBUのCEOを経て、2025年度にCIセクターのCOO兼アーバンシステムBUに就任し、事業のデジタル化をけん引してきた。網谷氏は「今年度からはCIセクターのCEOとして、フィジカルAIでグローバルに事業変革を進めていくことにまい進したい」と意気込む。
日立の2025〜2027年度の中期経営計画「Inspire 2027」で初年度に当たる2025年度のCIセクターの業績は、売上高が3兆860億円で、利益指標であるAdjusted EBITA率が11.0%、デジタルソリューション群「Lumada」の売上高比率が43%となった。
2025年度の成果として挙げるのが、データセンター設備、昇降機、産業用空調、産業機器などから構成されるファシリティ事業と、日立ハイテクが手掛ける半導体製造装置を中核とする半導体事業、同社の生化学/免疫分析や遺伝子検査などの診断装置が大きな役割を果たすライフサイエンス事業の成長である。ファシリティ事業は、データセンター需要が追い風となって売上高が前年度比23%となり過去最高を記録した。網谷氏がアーバンシステムBUで注力していたビルシステムなどのサービス事業比率も同10ポイント増と好調に推移した。また、半導体事業の売上高も前年度比26%増で過去最高となる3057億円となり、ライフサイエンス事業は診断装置の販売台数が過去最高の約1万6000台を記録した。
これらの成果を踏まえて網谷氏が掲げたのが「インダストリー領域におけるフィジカルAI(人工知能)事業のリーディングカンパニーを目指す」という方針である。網谷氏は「われわれのプロダクトをデジタライズドアセットに進化させて、高信頼な制御技術と高度な計測技術で世の中に存在しないデータを創出しフィジカルAIにつなげていく。そこから得られた現場のデータと実運用を熟知したドメインナレッジにAIを掛け合わせて、次世代ソリューション群である『HMAX』で現場の自律化と最適化を進め、フィジカルAIでTime to Marketの短縮を実現し、顧客の価値を高めていく」と説明する。
フィジカルAIによる顧客のTime to Marketの短縮がCIセクターの成長モデルになる理由としては、技術の複雑化による顧客課題の変化がある。例えば、微細化が進む半導体の開発では、直近数年間で検証時間が50%増加している。遺伝学検査/診断の種類は、2010年から2022年の13年間で約189倍に増えている。ここまで複雑化が進展している技術課題を、顧客が単独で解決してTime to Marketの短縮やROI(投資利益率)の最大化を実現することは難しく、そこで必要になってくるのが日立のようなパートナーとの協創だ。
日立は、先述した3事業に代表される強いプロダクトから高精度なデータを生成でき、複数のプロダクトとデータを統合するOT(制御技術)ナレッジを有している。そして、フィジカルAIは、現場へのフィードバックを可能にするものであり、高度に進化させ続けることでデータ生成からフィードバックまでのループの効率を最大化する。「これらの能力を有しているのが日立だと確信している」(網谷氏)という。
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