生活分析法(Factory Life Analysis Methods)は、業務分析の中でも特に、現場の実態を生活者の視点で捉えるための手法として知られています。業務作業者の1日の流れや行動パターンを「日常生活のように」時系列で観察し、無駄を発見して排除するために活用されます。
生活分析法は、観測対象者を1日以上観測し、時系列に会社での勤務時間内における生活(業務内容)の実態を分析する手法です。この手法はワークサンプリング法と内容的には同じであり、主として間接業務の分析に頻繁に活用されています。ワークサンプリング法の詳しい内容については、連載『よくわかる「標準時間」のはなし』の第9回「ワーク・サンプリング法は作業管理の問題解決に最適」を参照してください。
分析結果の用途としては、間接業務の効率向上、間接人員の削減、アウトソーシング業務の選択、設計業務の標準時間の設定などが挙げられます。
生活分析法のメリットとしては、単なるマニュアルの確認では分からない次のような現実が見えてくることで、無駄の発見や課題が浮き彫りになってきます。
生活分析法は、観測対象者の行動を「生活の流れ」として捉え、時間の使われ方を可視化する分析手法です。より丁寧な記録が無駄を見つけやすくします。
例えば、観測対象者の「出勤から退勤までの生活のように、時系列で行動の流れで捉える」「机上作業、移動、探す、待ち、立ち話、段取りや準備作業など、実際の細かい行動を全て観察して記録する」など、子細の記録と分析がポイントになります。以下に、生活分析法の進め方を挙げておきます。
製品設計者の設計業務比率の向上を目的とした、生活分析の結果のまとめ表の例を表4に記載しました。
表4に示した製品設計者の設計業務の生活分析結果からは、本来の業務が半分以下で、試作関係が約30%と意外に多いことが分かりました。その改善策として、設計部門に業務を計画/管理/調整する“工務係”を新設し、具体的には試作関係の資材の発注、予算管理、設計日程の管理、工程の調整と進行管理、品質管理などを担当するようにしました。その結果、本来の業務比率が約80%に向上し、設計期間の短縮やクレームの減少などの大きな効果が得られる結果となりました。
生活分析には、分析対象職場の部課長の目的意識やリーダーシップと観測対象者の理解と協力が不可欠です。
通常、分析はIE(Industrial Engineering)部門が担当する場合が多く見受けられますが、この場合の観測者は、当該職場の部課長との十分な事前打ち合わせが必要です。これを怠ると、分析が頓挫したり正確な情報が得られなかったりという結果に終わってしまう危険性が大いにあります。
ちなみに、現場作業における一般的な改善の定石は、“探す時間の短縮”には5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾[しつけ])の導入、“リードタイム(LT:Lead Time)の短縮”には工程内の仕掛品や部品/製品の在庫品の削減、“待ち時間の短縮”には段取り作業や準備作業の改善、“移動時間や移動距離の短縮”にはレイアウトの改善などを行います。
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職務分析は「人と仕事の関係」を見ていく手法です。職務分析を行う際に、従業員にとっては「監視されている」「仕事が減らされる」といった精神的不安を与えがちになります。「個人の評価ではなく、組織全体の無駄をなくして仕事を楽にするため」という目的の周知と共有が不可欠です。また、1つの手法に頼らず、面接と観察を組み合わせるなどの複合的な実施により、情報の精度を高めていくことが重要です。
また、生活分析法は、「いつ、どこで、誰が、何に、どれだけの時間を費やしているか」という行動の全容を詳細に記録して分析する手法です。主に、ワークサンプリングや時間観測として、業務の効率向上改善の前段階として行われます。分析のポイントとしては、職務分析と同じく対象者にとっては、常に監視されているという心理的負担を与えやすいため、個人の評価ではなく、仕組みの改善が目的であることを事前にしっかりと説明すれば、それが成功の鍵となります。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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