世界で唯一食品流通と空質を有する空調企業、パナソニック HVAC & CCの勝ち筋は製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

パナソニック HVAC & CC 代表取締役 社長執行役員の片山栄一氏が合同取材に応じた。同氏は、ハードウェアの累積設置台数を示すMIFの優位性を生かしたストック型収益モデルの拡大などにより、2028年度には調整後営業利益で少なくとも1000億円、調整後営業利益率で7%超を目指す方針である。

» 2026年06月08日 06時45分 公開
[朴尚洙MONOist]

 パナソニック HVAC & CCは2026年5月28日、本社を置くパナソニック東京汐留ビル(東京都港区)において、同社 代表取締役 社長執行役員の片山栄一氏への合同取材に応じた。同社は、パナソニックグループの中長期的な成長で重要な役割を果たすソリューション領域を担う1社として、早期に足元の低収益の状態から脱却し、空調空質/コールドチェーン分野におけるハードウェアの累積設置台数を示すMIF(Machines In the Field)の優位性を生かしたビジネスモデルの変革を推進していく方針である。

パナソニック HVAC & CCの片山栄一氏 パナソニック HVAC & CCの片山栄一氏

 パナソニック HVAC & CCは2026年4月1日付で、それまでパナソニックの傘下にあった空質空調社とコールドチェーンソリューションズ社が1つの事業会社となって発足した事業会社だ。売上高は1兆3124億円、従業員数はグローバルで約3万人。売上高の海外比率は64%とパナソニックグループの中でも比較的高い。国内では「エオリア」など家庭用のルームエアコン(RAC)のイメージが強いものの、売上高のB2B比率は約70%に達している。

パナソニック HVAC & CCの会社概要 パナソニック HVAC & CCの会社概要[クリックで拡大] 出所:パナソニック HVAC & CC

 同社が手掛ける製品としては、RACに加えて業務用のコマーシャルエアコン(CAC)、エコキュートなどのA2W(Air to Water)、換気扇や空気清浄機などの空質機器(IAQ)、空調機器向けのデバイス、冷蔵ショーケースなどのコールドチェーン機器、環境エンジニアリングなどがある。

パナソニック HVAC & CCの事業領域 パナソニック HVAC & CCの事業領域。売上高では競合領域と非競合領域の比率は50%ずつとなっている[クリックで拡大] 出所:パナソニック HVAC & CC

 これらのうちRACやCAC、A2Wなどの製品は、ダイキン工業や三菱電機といった国内空調企業と競合しており、価格競争の影響などもあって利益率は低い。一方、IAQやデバイス、コールドチェーン機器、環境エンジニアリングはこれら国内空調企業と競合していないこともあり、比較的利益率は高い。売上高では競合領域と非競合領域の比率は半々だが、利益の70%は非競合領域で稼ぎ出している。片山氏は「非競合領域で稼ぎ、競合領域の復活を目指す」と語る。

 パナソニック HVAC & CCが対象とする空調空質/コールドチェーン分野は、急激な温暖化の影響もあり成長市場となっている。片山氏は「現在のパナソニックグループの6事業会社のうち、2022〜2024年度の3年間で売上高が2桁%成長しているのは2社だけで、当社はその1社だ。現在苦戦しているといわれている欧州のA2W事業も普及率は約5%、エアコンのグローバルでの普及率も冷蔵庫や洗濯機の約半分にすぎない。コールドチェーン機器やCO2冷凍機も2桁%をはるかに超える成長を実現している」と説明する。

パナソニック HVAC & CCの事業領域 パナソニック HVAC & CCの事業領域。売上高では競合領域と非競合領域の比率は50%ずつとなっている[クリックで拡大] 出所:パナソニック HVAC & CC

 その一方で空調市場は、供給能力という観点で一定の制約がある。機器の特性として設置とエンジニアリングが必ず必要になるため人的リソースの制約が大きい。さらに、強化が続く冷媒規制などの環境対応も必要だ。これらの制約もあり同市場への参入障壁は高いとされている。「足元では欧米の空調市場においてM&Aが活発化しているが、これはこの市場が魅力的であることの証明ではないか」(片山氏)。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR