パナソニック HVAC & CCは、松下電器産業のエアコン/給湯、松下精工のIAQ、三洋電機のCAC、コールドチェーン機器、米国ハスマン(Hussmann)の5事業を源流に持つ。パナソニックグループの事業会社化に併せて、2022〜2025年度の4年間は空質空調社、コールドチェーンソリューションズ社としてそれぞれ独立して事業を展開してきたが、2026年度からは満を持して一体化し、世界で唯一の食品流通と空質を有する空調企業として競争優位を確立していく方針である。
片山氏は「ダイキン工業や中国大手と真正面から戦って勝てる領域もあれば、あまり勝負にならない領域もある。そこで、当社の価値を訴求できる領域にフォーカスしてシェアを拡大することに注力していきたい」と強調する。グローバルの空調空質/コールドチェーンの市場規模は約29.1兆円あるが、パナソニック HVAC & CCが注力市場とするのはそのうちの4.1兆円に相当する領域になる。現在、同社の同領域の売上高は約1兆円であり、シェアは約24%となっている。
この注力領域は3つの項目を基準に絞り込まれている。1つ目は「ストック価値が存在する市場」で、販売/設置済みの空調機器をストックと見なしてサービスなどによってさらなる省エネを提案できる。2つ目の「機能が重視される市場」には、ナノイーやジアイーノなどの空質技術が効果を発揮する。3つ目の「総合提案受容型の市場」では、空調とコールドチェーンの連携、空質と空調の連携などの統合提案を目指す。これら3つの項目で重視しているのが「ストック型事業の拡大」である。
パナソニック HVAC & CCは、パナソニックグループの中長期的な成長で重要な役割を果たすソリューション領域を、パナソニック コネクト、パナソニック エレクトリックワークスとともに担っている。そして、このソリューション領域の成長を実現するためのビジネスモデルになっているのがストック型収益モデルであり、パナソニック HVAC & CCの注力領域そのものとなる。
ストック型収益モデルは、ハードウェアの累積設置台数であるMIFをベースに、顧客が求める「止まらない」「省エネ」「省人化」「オペレーションの高度化」などのニーズに対応するサービス/エンジニアリング収入を積み上げていくビジネスモデルである。
片山氏は「例えば、冷蔵ショーケースは、メンテナンス、リファービッシュ、クリーニングなどハードウェアを販売した後の顧客とのつながりが長い。吸収型の冷凍機も真空状態の維持など販売後のサービス/エンジニアリングがビジネスのコアになっている。家庭用エアコンや給湯器がストック型になるのかという意見もあるが、電力消費量の大きい機器であり、社会全体のエネルギーのサステナビリティを考えると、直接ハードウェアを販売した顧客とのつながりを起点に十分ストック型になり得ると考えている」と述べる。
今後は、ハードウェアの販売/納入という従来のビジネスモデルからの移行を目指す。自社ハードウェアを起点に保守/メンテナンスを提供する「ハード/サービス型」、他社機を含めた最適運用サービスを行う「ソフト/サービス型」、主にインフラや設備などを中心に設計施工/運用サービスを提案する「顧客連動型」があり、これら3つはソリューション領域で注力するストック型収益モデルに相当する。
パナソニック HVAC & CCの調整後営業利益は2025年度が331億円と低収益の状態にある。2026年度はほぼ倍増となる600億円となる見通しだが、調整後営業利益率では4.4%と依然として高い水準とはいえない。「2028年度には調整後営業利益で少なくとも1000億円、調整後営業利益率で7%超を出せるようにしたい」(片山氏)としている。
「成長していないパナソニック」から脱却へ、楠見CEOが「MIF」で描く次の一手
新生パナソニックが挑む「新たな価値創造」、4つの強み生かし再成長フェーズへ
パナソニックがCO2冷媒冷凍機で欧州市場に攻勢、売り上げは5年で13倍に
パナソニック空質空調チェコ工場新棟が稼働、自動化推進で年産70万台まで可能に
“開製”連携で柔軟で効率的な製造を、パナソニックのコールドチェーン事業
地産地消で生産の国内回帰を推進、パナソニックが目指す業務用空質空調事業の成長Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク