パナソニック 空質空調社は、欧州におけるヒートポンプ式温水給湯暖房機(以下、A2W)の生産を担うチェコ工場において、新棟が稼働を開始したと発表した。供給能力を強化することで、中長期的な市場の拡大に対応する。
パナソニック 空質空調社は2025年8月29日、欧州におけるヒートポンプ式温水給湯暖房機(以下、A2W)の生産を担うパナソニックHVACチェコのチェコ工場において、新棟が稼働を開始したと発表した。
A2Wは、大気中の熱を利用して温水を作り、建物に循環させて暖房する欧州で主流の空調システムとなっている。ガスボイラーや石油ボイラーなどの化石燃料を用いた暖房機器に比べてCO2排出量を抑えることができ、環境への負荷が少ないことが特長だ。脱炭素への機運の高まりなどから、中長期的な市場の拡大が見込まれている。
チェコ工場は1996年、テレビの生産拠点として設立され、2018年からA2Wの生産を開始した。当初は室内機(給湯ユニット)のみだったが、2023年から自然冷媒(R290)を採用した室外機(ヒートポンプユニット)も生産している。2024年には欧州の市場ニーズに迅速、柔軟に応えるためR&D部門を設立するなど開発/生産を担う主要拠点となっている。
延床面積は既存棟3万8000m2に対して、新棟は10万2000m2あり、新棟の完成によって今後の需要に合わせた製造ライン増設に加えて、現在80台導入しているロボットの活用などを通じた自動化で、年間の生産能力は15万台から当初計画を約20%上回る最大約70万台まで将来的に拡張可能になるという。
さらに2028年までに、部品加工工程(源泉工程)で100%の無人化、部品組付工程(組み立て工程)で現状比約2倍の自動化率の実現を目指す。
また、コスト競争力および品質管理体制の強化を目的に、室外機外装部品、空気熱交換器、銅配管、プリント基板など主要部品の内製化を進め、基幹部品の内製化率を約70%まで向上させる。
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