パナソニック コールドチェーンソリューションズ社は、冷凍機事業の戦略について発表した。CO2冷媒冷凍機を欧州市場で積極展開し、中期(5〜10年)で冷凍機事業の売上高を1.5〜2倍以上に成長させる方針を示した。
パナソニック コールドチェーンソリューションズ社は2025年10月1日、冷凍機事業の戦略について発表した。冷媒にCO2を用いたCO2冷媒冷凍機を欧州市場で積極展開し、中期(5〜10年)で冷凍機事業の売上高を1.5〜2倍以上に成長させる方針を示した。
パナソニック コールドチェーンソリューションズ社は旧三洋電機の流れをくみ60年以上事業展開を行っている領域だ。主に冷凍冷蔵ショーケース、冷凍機、厨房機器、これらに関連するサービスなどの4つの事業領域を展開している。コロナ禍以降4年連続で増収増益を実現しており、成長を続けている。
その中でもグローバルで高い成長性が期待されているのが、冷凍機事業だ。冷凍機に欠かせない冷媒では、フロン類の規制が強まっている。従来はオゾン層の保護のために、CFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)から、代替フロンとされるHFC(ハイドロフルオロカーボン)への置き換えが進められたが、このHFCが地球温暖化への影響が大きいことから、こちらもグローバルで規制が進んでいる。特に欧州では2050年までにHFCの完全廃止を目指している。
これに対し、パナソニックでは自然冷媒とされるCO2冷媒を採用した冷凍機を2010年に初めて商品化し、市場での知見を積んできた。パナソニック コールドチェーンソリューションズ社 コールドチェーン事業部 事業部次長の土本学氏は「パナソニックでは2030年にノンフロン冷媒100%を目指している。いち早くCO2冷媒を商品化した強みを生かし、特にフロンガス規制が厳しい欧州を伸ばしていく」と語る。
実際に欧州のCO2冷媒冷凍機事業は急成長しており、2020年から2024年にかけて売り上げは13倍に成長し、約23億円となった。パナソニック コールドチェーン ポーランド(PCCP)のマネージングダイレクターである島田賀久氏は「2017年から日本で培ったCO2冷媒冷凍機を輸出を開始したが、当初はなかなか受け入れられなかった。現地ニーズに合わせた製品改良や開発、現地での施工トレーニングなどを進めたことで、2021年から急成長が始まった。2024年段階でCO2冷媒冷凍機のシェアは25%獲得できている(パナソニック推計)」と手応えについて語る。
フロン規制が進む中、欧州でのCO2冷媒冷凍機市場の成長は続く見込みだ。その中で、日本からの輸出だけでは間に合わなくなることが明らかであるため、2024年にポーランドの冷凍機メーカーArea Cooling Solutionsを買収した。現在はパナソニック コールドチェーン ポーランドとして運営しているが、日本からの輸出に加え、ポーランドでの生産やラインアップを加えることで、欧州市場の成長に追従していく方針だ。
島田氏は「もともとArea Cooling SolutionsはCO2冷媒技術を独自で保有しており、インバーターなど省エネ技術も優れたものを持っていた。さらに冷凍冷蔵機器のコンプレッサーはパナソニック製を使っており、非常に相性が良かった。両社の技術力を生かし、欧州でのさらなる成長を目指す」と述べる。
これらをさらに強化するために、2025年10月から環境配慮型冷凍機の新シリーズの展開を開始する。新シリーズは、CO2冷媒を採用した「iCORE」シリーズと、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)とHFCを採用した「iCOOL」だ。新ラインアップの展開により、6機種から70機種に増やし、細かいニーズに対応することで、販売を広げていく。
土本氏は「市場環境的にも、製品的にも、体制的にも冷凍機事業は強い追い風が吹いている状態だ。長期ではなく中期の範囲内(5〜10年)に1.5〜2倍の売上高には成長できると考えている。そのドライバーとなるのが欧州だ」と語っている。
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