パナソニックグループはなぜAIインフラ領域に注力し、そこにどのような勝算があるのだろうか。前編では、電子部品や材料などを展開するパナソニック インダストリーの取り組みを紹介する。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2026年5月12日に、2032年度までを視野に入れた成長戦略を発表し、重要分野として「AI(人工知能)インフラ」と「ソリューション」という2つの領域を掲げている。
2026年6月8日には「Panasonic Group Investor Day 2026」を開催し、この「AIインフラ領域」と深く関わる事業会社であるパナソニック インダストリーとパナソニック エナジーの中期の戦略について説明した。本稿では「なぜ、パナソニックグループがAIインフラ領域に注力するのか」という観点で、両社の戦略について取り上げる。前編では、電子部品や材料などを展開するパナソニック インダストリーの取り組みを紹介する。
パナソニック インダストリーは松下電子部品をルーツに持つ、電子部品や電子材料を展開する事業会社だ。パナソニック インダストリー 社長執行役員 CEOの小澤正人氏は、その強みについて「電子部品の展開において、材料やプロセスから開発していることが特徴だ。『材料×プロセス技術でユニークな価値を生み出し続けるデバイスメーカー』を目指す」と語る。
具体的には、パナソニック インダストリーでは、顧客となる半導体メーカーや電子機器受託サービス企業(EMS)に対し、電子材料やデバイスの知見をベースに未来を見据えた仮説を基に技術動向を議論し、それを満たすスペックを実現するデザインインやレファレンス活動を推進している。これにより、競合他社とスペック競争に陥ることなく、先行して競合他社にはまねのできない価値を提供している。
小澤氏は「これらの活動を形にできるのは、業界キープレーヤーとの長年培った信頼関係や、複数レイヤーにまたがる立体的な顧客接点による精度の高い仮説構築などができる強みがあるからだ。また、技術やプロセスから開発をしているため、これらを組み合わせたブラックボックス技術を抱える点も強みだ。まねのできない素材配合設計や、独自の連続プロセスなどで差別化につなげられている」と述べる。
パナソニック インダストリーの製品で、AIに関連して大きく成長しているのが、AI半導体周辺の回路で使用され、AIサーバや周辺機器などで採用が広がっている高機能基板材料と導電性コンデンサーだ。さらに、AIデータセンター向けのサーバラックでは、パナソニック エナジーとの協力で開発したスーパーキャパシターの展開を進めている。今後は車載での実績などを生かし、インダクターやリレーについても応用展開を進めていくという。
さらに、まだ大きな形にはなっていないが、ロボットやADAS(先進運転支援システム)などエッジ領域においてさまざまな端末にAI機能が組み込まれるため、これらの端末向けデバイスを伸ばしていくという。小澤氏は「各端末でのAI機能についても頭脳部分についてはGPUが採用されている。現在も導電性コンデンサーがNVIDIA Jetson系のレファレンス回路として採用されており、エッジAI領域でも勝負できると考えている」と語っている。
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