製造業においてもマーケティング手法のデジタルシフトは加速している。だが、業界事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第21回のテーマはChatGPTを活用したマーケティング業務の効率化について解説する。
ChatGPTを活用したマーケティング業務の効率化が注目を集めている。しかし、思うような回答が得られないケースも多く、その効果を十分に引き出せていない方も少なくないのが現状だ。
本稿では、ChatGPTから質の高い回答を引き出すための2つのポイント「段階的なアプローチ」と「適切な前提条件の設定」について解説する。さらに、これらのポイントを生かした実践例として、SEOに強い記事構成の作成方法も紹介する。
⇒連載「間違いだらけの製造業デジタルマーケティング」のバックナンバーはこちら
ChatGPTを使用していると、思うような回答が得られずに諦めてしまった経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。このような状況に陥る主な理由として、複雑な問題に対して曖昧な質問をしてしまっていることが挙げられる。
以下2つのポイントを押さえることで、生成AI(人工知能)から得られる回答の質が大きく変わるので試してみていただきたい。
生成AIも人間と同じように段階的なアプローチが効果的だ。複雑な問題を尋ねる場合は一度に聞くのではなく、小さなステップに分けて整理し、各段階で回答の正確さを確認しながら進めていく。これによって、より精度の高い結果を得ることができる。これは、人間が複雑な課題に取り組む際の問題解決プロセスと非常によく似ている。
状況を整理して段階的に質問することで、生成AIの能力をより効果的に引き出すことができる。最初は思うような結果が得られなくても、このようなアプローチを意識することで、より満足のいく回答を得られる可能性が高まるだろう。例えば企業のマーケティング戦略をChatGPTに考えてもらう際の、悪い例と良い例を紹介する。
悪い例:「企業のマーケティング戦略について包括的な提案を作成してください」
良い例:
このような段階的なアプローチにより、マーケティングの基本フレームワークである3C(Customer:市場・顧客、Competitor:競合、Company:自社)を体系的に分析したうえで、戦略立案に進むことができる。
また、各ステップでの確認と軌道修正が可能なため、最終的に出てくる回答の質が大幅に向上する。一方、包括的な質問への回答を一度に求めると、得られた提案の質が期待に沿わないものであった場合に、どの部分に問題があるのかの特定が困難になる。段階的なアプローチであれば、各フェーズでの分析や提案内容を個別に評価し、必要に応じて修正を加えることができるのが大きなメリットだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.