さて、次に実践編です。マーケティング活動において業務を効率化する具体的な方法として、優れたSEO記事の構成案をChatGPTに作成してもらうケースをご紹介する。前述したChatGPTをうまく使いこなすポイントを押さえたうえで進めていく。
生成AIから良い回答を得るために、まず「そもそもSEOに強い記事構成とはどのようなものか」を考えておく必要がある。
検索エンジンは、ユーザーニーズを満たす情報を掲載している記事を評価する。ただし、多くの場合は類似したテーマの記事が存在するため、競合記事がすでにカバーしている情報を掲載しても検索エンジンからの評価を得ることが難しい。そのため、ユーザーニーズに添いつつ競合ページがカバーできていない検索需要に応える「独自性の高い記事」を作り上げることが必要となる。
ユーザーニーズに添いつつ競合ページがカバーできていない検索需要に応える「独自性の高い記事」を作るために、筆者が考えたChatGPTのプロンプトが以下である。
# | 目的 | プロンプト |
---|---|---|
1 | 【事前準備】競合サイトが掲載しているコンテンツの整理 | ラッコキーワードを使い、SEO対策したいキーワードで「見出し抽出(H3まで)」しておく(Excel形式に変換しておく) |
2 | ユーザーの検索意図を想定してもらう | 「〇〇」でキーワード検索するユーザーはどのような検索意図を持っていることが予想されますか? |
3 | ユーザーの検索意図と競合サイトのコンテンツを見比べて、カバーできていない検索意図を見いだす | 添付したExcelは「〇〇」で検索した際に上位表示される競合ページの見出し(コンテンツ)です。先ほど予測してもらったユーザーの検索意図と見比べていただき、競合するWebページがカバーできていない検索意図を教えてください。※ラッコキーワードで出力した「見出し抽出」を添付 |
4 | 上記を考慮した上で記事構成を作成してもらう | 提案いただいた検索意図を中心に「〇〇」でSEO対策するための記事構成を提案してください。 |
まず、検索ユーザーの意図を分析し、次に競合ページのコンテンツ内容を把握したうえで、最後に記事構成を検討するという3段階のアプローチを取る。
このとき、競合ページの分析にはキーワード分析ツール「ラッコキーワード」の無料機能である「見出し抽出」を活用し、得られた情報をChatGPTへの添付資料としてアップしインプットさせる。このような段階的なアプローチと、競合分析データの活用により、以下の2つの要素を両立した記事構成を効率的に作成できる。
結果として、SEOの観点で差別化された、オリジナリティーの高い記事構成を、高い精度で作成できる。
本稿では、ChatGPTから質の高い回答を得るための2つのポイントと、それを活用したSEO記事構成の作成方法について解説した。
「段階的なアプローチ」と「適切な前提条件の設定」という2つのポイントを押さえることで、ChatGPTからより実用的で質の高い回答を引き出すことができる。ここで紹介した活用法は、SEO記事の構成作成に限らず、さまざまなビジネス課題の解決にも応用が可能だ。使いこなすまでには練習が必要だが、習得後の業務効率化を考えれば、その学習コストは十分に見合うものとなるだろう。
徳山正康(とくやま まさやす)
テクノポート株式会社 代表取締役
製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手掛けるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。
グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家。
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