パナソニック コネクトが同社傘下のブルーヨンダーの事業戦略を説明。2023〜2025年の3年間で2億米ドル(約270億円)を投資してSCMに関わるエンドツーエンドをカバーしたSaaSベースの統合スイートとなる次世代プラットフォームの開発を進める。
パナソニック コネクトは2023年5月10日、オンラインで会見を開き、同社傘下のSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションベンダーであるブルーヨンダー(Blue Yonder)の事業戦略を説明した。今後のさらなる成長に向けて、2023〜2025年の3年間で2億米ドル(約270億円)を投資してSCMに関わるエンドツーエンドをカバーしたSaaSベースの統合スイートとなる次世代プラットフォームの開発を進め、2026年以降に投資回収フェーズに移行する計画である。
2021年9月にパナソニック コネクトによる買収が完了したブルーヨンダーだが、2022年7月に新CEOのダンカン・アンゴーヴ(Duncan Angove)氏が就任するまでの期間、一時的に業績が伸び悩んだ。パナソニック コネクト 代表取締役 執行役員 社長・CEOの樋口泰行氏は「当社にとって、ブルーヨンダーが確立してきたSaaSベースのSCMソフトウェア企業との相乗効果が大きいことに変わりはないが、買収前の投資会社傘下では長期視点での投資が不十分であり、新CEO就任までのマネジメントの空白、離職率の増加による営業力低下、マクロ経済環境の悪化なども重なり業績が足踏み状態になった。ただし現在は、新CEOの下で新たなマネジメントチームを組成し、営業力強化や顧客体験の差別化などを含めて短期間のうちにリカバリーを果たしている」と語る。
その上で、SaaSビジネスを核とするブルーヨンダーの加速度的な成長を実現するには基盤構築のために一定規模以上の投資が必要と判断した。「SaaSビジネスは従来のソフトウェアビジネス以上にスピードが命だ。そのためには拡張性を持ってスケールさせられる基盤の構築に向けて、早期の段階からアクセルを踏んでしっかりと投資しなければならない。正しく投資を実行しなければどこかでボロが出て売り上げの伸びが鈍化してしまいかねない。短期収益の確保ではなく、長期戦略に沿って事業運営をできるかが鍵になる」(樋口氏)という。
ブルーヨンダーの2022年の業績は売上高12億米ドル、SaaSビジネスの年間経常収益(ARR)は5億7500万米ドルだった。アンゴーヴ氏は「2022年第4四半期(10〜12月)、2023年第1四半期(1〜3月)とも堅調な成長を遂げており、リカーリングビジネスの売上高比率も約70%に達している。97%という顧客維持率は、SCMというミッションクリティカルな用途における当社ソリューションが顧客にとって魅力的であることを示しているのではないか」と述べ、着実に業績が回復していることを強調した。
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