3次元プリンタの特許はどうなっている、国内企業に勝機はあるのか知財ニュース(1/2 ページ)

3次元プリンタ(3Dプリンタ)に利用される3次元造形技術。特許に関する調査会社パテント・リザルトによれば、米3D SystemsとドイツEOSの特許が強い。だが、両社に続く3〜5位は日本企業だ。どこだろうか。

» 2013年01月08日 12時15分 公開
[畑陽一郎,MONOist]

 紙に描かれた絵ではなく、手にとって触れる造形物を出力する「3次元プリンタ(3Dプリンタ)」。モノづくりの進め方を変えるツールとして広く注目されている。

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 まずは、3次元CADで設計したデータから、効率よく試作品を作り上げるラピッドプロトタイピング(3次元造形技術)用のツールとしての用途が広がっている。

 3次元造形技術の背景にも知的財産権(知財)がある。どの企業の特許が優位にあるのか、企業同士の競合関係はどうなっているのか。特許分析ソフトウェア開発や特許分析情報提供を行っているパテント・リザルトは、日本に出願された3次元造形関連技術の特許の評価結果を発表した。特許ごとの注目度を重み付けして点数化する同社のパテントスコア技術を適用し、企業名別に順位付けをしたものだ。

 同社がまとめた特許の総合力ランキング*1)では、1位が米3D Systems、2位がドイツEOS、3位がパナソニック電工(現在はパナソニックの一部門)である(表1)。

*1) 同社は特許の出願件数だけでなく、同社独自の基準を用いた個々の特許に対するスコアリングを使って特許の質も評価している。その際、「パテントスコア」という基準を使った。パテントスコアとは、市場における特許の注目度を数値化した指標。ここでは、特許審査官の引用が多いことや、出願した企業が権利化に対して意欲が高いこと、競合会社からの無効審判を跳ね返した実績がある場合に、高いパテントスコアを与えている。権利者(企業)ごとにパテントスコアが50点以上のもののみを集計した値を「権利者スコア」と呼ぶ。パテントスコアの最高値を「最高スコア」と呼ぶ。

順位 企業名 総合力(権利者スコア) 有効特許件数 個別力(最高スコア)
1 米3D Systems 775.1 80 70.5
2 ドイツEOS 557.7 63 71.2
3 パナソニック電工 534.0 67 75.7
4 JSR 392.7 63 76.9
5 ナブテスコ 326.7 66 79.9
表1 3次元造形技術の国内特許総合力トップ5 1993年から2012年10月までに公開された全ての特許公報について、集計したもの。なおパナソニック電工は現在、パナソニックの一部門となっている。出典:パテント・リザルト

 3D Systemsは強い特許を多数そろえており、総合力が高い。一方、ナブテスコは総合力では5位にあるが、特に強い特許を手にしていることが分かる(図1)。

図1 3次元造形技術に関する特許の競合状況 図の上にあるほど、その企業が3次元造形技術に関する強い特許を多数保有していることを表し、図の右にあるほど、個別の特許が強いことを表す。出典:パテント・リザルト

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