個々の特許に対するスコアリングと特許の寿命を掛け合わせることで、企業の保有する特許の資産規模を算出できる。パテント・リザルトは特許資産規模上位10社を発表した。
企業の特許資産を総合評価するにはどうすればよいのだろうか。
特許分析ソフトウェア開発や特許分析情報提供を行っているパテント・リザルトは、2012年10月、同社が電気機器業界に属すると分類した企業*1)について、特許資産規模を総合評価した結果を公開した。規模が高い順に、パナソニック、東芝、三菱電機であるという(図1)。
*1) 総務省の日本標準産業分類を参考に分類したという。
評価基準は「パテントスコア」だ。同社は特許ごとの注目度を重み付けして点数化する独自のパテントスコア技術を適用し、特許ごとに評価*2)を下している。
*2) 特許の優位性は出願件数だけでは決まらない。そこで、同社独自の基準に基づいた、個々の特許に対するスコアリング(パテントスコア)で特許の質を評価した。パテントスコアとは、市場における特許の注目度を数値化した指標。特許審査官の引用が多いことや、出願した企業が権利化に対して意欲が高いこと、競合会社からの無効審判を跳ね返した実績がある場合に、高いパテントスコアを与えている。
各企業が保有する各特許のパテントスコアに、その特許の残存期間(特許失効までの期間)を掛け合わせて合計した値を特許資産規模とした。
特許資産規模=Σ(パテントスコア×特許の残存期間)
パテント・リザルトの集計結果を見ると、単純な特許の登録件数とは異なる結果が出ている。例えば、図1のデータを登録件数1件当たりで並べ替えると、東芝、シャープ、三菱、パナソニックという順番になる。効率的な特許取得や特許維持費用を考えると、東芝が有利といえるだろう。
上位3社の特許の強みはそれぞれかなり異なる。パテント・リザルトによれば、1位のパナソニックは、ReRAM(抵抗変化メモリ)に関する特許に注目度の高いものが多いという。ReRAMは不揮発メモリの一種であり、同じ不揮発メモリであるフラッシュメモリと比べて消費電力が小さく、高速データ書き込みができるという特徴がある(関連記事「マイコンの進化を不揮発メモリが助ける、パナソニックが「ReRAM」を採用」)。その他、パワー半導体素子など半導体関連の分野に高評価の特許が集まっているという。
2位の東芝はディスプレイ関連の特許が強いとした。具体的にはテレビ受像機や画像処理、タッチパネル、レコーダーである。
3位の三菱電機は2011年の調査から2ランク上昇したという。三菱電機の注目技術は幾つかに分かれており、鉄道関連やミスト発生装置、ガス絶縁開閉装置などであるという。
なお、パテント・リザルトは、今回の分析について詳細にまとめた複数のリポート資料を販売している。
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