生産工程の一部で何らかの問題が発生すると、その影響は次工程に波及していくことになる。その影響範囲を問題工程からどのような流れで波及していくかが把握できれば、突然の生産計画のズレが発生しても問題が顕在化(納期遅れ発生)する前段階で対処できる。
野中氏は、「可視化係数」という独自の問題算出のための計算手法を考案した。
生産性指標には、仕掛かり量や、スループット、処理時間、歩留まり率などの値を取る。
各工程とロットの間で、それぞれの生産指標を入力していき、それらの値と設定した閾値を比較し、工程の状態を色分けすることで、色による可視化を実現している。
こちらも表計算ソフトを利用したもの。この可視化により、上流工程で発生した問題がいつ、どのタイミングでどのロットに対して影響するかをいち早く予測できる。
「上流工程で、例えば作業人員の不足が原因で生産計画のズレが発生した場合、後工程に影響が及ぶ前にリソース投入計画を改めるなどの手を打つことができ、納期順守率向上につなげることができる」
「この仕組みは日立の複数の事業所で採用されている生産計画手法。研究所で考案した仕組みではあるが、事業所の現場で試行錯誤した成果。現場に根差した仕組みとして事業所に受け入れられている。今後はグローバルで各地域の工場を連携して予測する仕組みへの展開を目指したい」としている。
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