本稿ではイトーキ 関西工場における働きやすい環境の整備や、サステナブル、地域貢献への取り組みを紹介する。
創業130年を超えるオフィス家具大手イトーキの国内生産拠点の1つである関西工場(滋賀県近江八幡市)。前編では、関西工場のオフィスチェア生産工程における自動化、無人化への取り組みを紹介した。本稿では後編として、関西工場における働きやすい環境の整備や、サステナブル、地域貢献への取り組みを紹介する。
日本のさまざまな分野で少子高齢化を背景にした人手不足、技能継承の問題がある中、イトーキ 関西工場でもAI(人工知能)やロボットの活用を進めている。
これらの取り組みについてイトーキ 生産本部 関西工場 滋賀第二製造部 部長の永山一基氏は「自動化を進めないとモノづくりが安定して維持できない」としつつ、「でも結局、それらを考えて、使うのはわれわれ人だ。人が働きやすい環境を作ることが大事だ」と語る。
働きやすい環境整備の1つとして、関西工場では作業者の休憩スペースを充実させている。2023年、工場の3Fに新しく誕生した休憩スペースには、チェアやデスクにイトーキの自社製品をふんだんに使用。各自の貴重品などを保管できる個人用ロッカー、電子レンジ、ウォータサーバや冷蔵庫が設置されている他、スマートフォンなどの充電に使えるコンセントの数も充実させた。
壁に面したハイカウンター席は、周囲の人と目線が合いにくいため、1人でゆっくりと休憩できる。テーブル席は打ち合わせや雑談などが可能だ。壁紙などの内装は女性従業員が選んだ。
靴を脱いでリラックスする空間が欲しいという要望から、土足厳禁のエリアを作り、ゆったりと座れるソファを置いた。さらに、この奥には仮眠が取れるリクライニングチェアが置かれた空間もある。周囲の視線を気にせず過ごせるように奥まった位置に設けた。
新たに誕生した休憩スペースには従業員のアイデアが多数盛り込まれており、事前の話し合いの過程で出てきたアイデアを記したホワイトボードがそのまま残されている。
また、同工場としては初めて女性専用の休憩スペースを設けた。今、工場見学の希望が多数寄せられているが、その中には「休憩スペースを見せてほしい」という声も多い。現場作業者のモチベーションを高めるために、休憩スペースにも改めて着目している企業が増えているのだ。実際に関西工場では休憩スペースの整備後、離職率が低下したという。
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