近年、製造業においてもサステナブルへの取り組みが求められている。関西工場でも地道な取り組みを進めており、牛皮を使ったオフィスチェアの製作もその1つだ。
滋賀県は、400年近くの歴史を持ち、日本三大和牛の1つにも数えられる近江牛の産地だ。近江牛は県内で広く飼育されており、近江牛を使った料理を提供するレストランも多い。
1839年創業の岡喜は滋賀県内で6店舗、東京都内に1店舗を構え、近江牛料理を提供している。イトーキの関西工場がある近江八幡市に自社牧場も構えている。
牛を解体する過程で牛皮が得らえる。かつて牛皮はかばんなどの原料として買い取られていたが、合成皮革の普及に伴って、有料で処分を依頼しなければならなくなってきたという。
そこで両社がコラボレートし、岡喜の近江牛の解体過程で出る牛皮を使ったオフィスチェアを関西工場で製作した。ふるさと納税の返礼品など地域貢献への活用を模索している。
また、オフィスチェアの製造工程では、生地の裁断時に出た余り生地(端材)から小さなポーチ「monoiRe.」を作り、工場見学者らに提供している。端材は色や材質別に分けられており、工場見学者は好きな生地を選ぶことができる。縫製は工場ですぐに行われ、見学終了後には出来上がっている流れだ。
イトーキではトヨタ紡織と共同で、東南アジアなどで栽培される一年草であるケナフを使ったオフィス家具の開発を進めている他、三重大学らとともにコーヒーのドリップ後に出るコーヒー豆のかすを家具へ活用する研究も行っている。
永山氏は「これからはモノづくりだけでなく、コトづくりも進めていかなければならない。異業種とのコラボレーションや地域との連携も重要になってくる。休憩スペースについても、われわれの工場、施設をショールーム化して、時々のトレンドも取り入れながらリニューアルを続けていきたい」と話す。
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