Rapidus(ラピダス)は、北海道千歳市で進む半導体工場「IIM(イーム)」建設の現状と今後の計画について説明した。
Rapidus(ラピダス)は2025年4月1日、東京都内で記者会見を開き、北海道千歳市で進む半導体工場「IIM(イーム)」建設の現状と今後の計画について説明した。
Rapidusは2025年4月1日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発 事業/先端半導体製造技術の開発(委託)」における「日米連携に基づく2nm世代半導体の集積化技術と短TAT製造技術の研究開発」および「2nm世代半導体のチップレットパッケージ設計・製造技術開発」の2025年度の計画と予算が承認された。
これを受けて、Rapidus 代表取締役社長 CEOの小池敦義氏は「本日(2025年4月1日)からパイロットラインの立ち上げを開始しており、2027年度を目標とする量産開始の実現につなげていきたい。従業員には先日、“われわれはまだ一合目にいる。決して安心はできないが、確実に一歩一歩進んでいく”と伝えた。自信はあるが、楽観はできない」と決意を語った。
半導体製造の前工程に当たる、日米連携に基づく2nm世代半導体の集積化技術と短TAT製造技術の研究開発は、2022年11月に次世代半導体の研究開発プロジェクトとして採択された。米国のIBMなどと連携して2nm世代のロジック半導体の技術開発と、国内での短TATパイロットラインの構築およびテストチップによる実証を行う他、EUV(極端紫外光)露光技術を用いた2nm世代パターニング技術の開発を目指し、それらの成果を基に先端ロジックファウンドリとして事業化を目指す。
Rapidusでは2024年12月25日、ASMLのEUV露光装置の搬入を開始した。「巨大な装置であり、ジャンボジェット機を3機使い、分割してオランダから運んだ。2025年4月1日に同装置を用いた露光を初めて実施しており、順調に立ち上がりつつあるといえる。工場には数百台という装置があり、それぞれの条件出しなどを終え、(チップの)ある程度の確認ができるのは7月中旬から下旬ぐらいと考えている」(小池氏)。
ウエハーを格納したFOUPの搬送においても、従来はクリーンルームの天井に張り巡らされたレールに沿ってFOUPを格納した台車が移動するシステムだったが、RapidsuのIIMでは、台車が天井を前後左右に独立して移動できる新しい搬送システムを導入する。「従来は一方向しか搬送できなかったが、新しいシステムでは、必要な時に必要なものを搬送できる。これによってサイクルタイムを大幅に縮めることができる」(小池氏)。
PDK(Process Design Kit)は2025年度中に先行顧客への提供を目標とする。PDKは半導体プロセスの集積回路の設計に必要な情報をまとめたものだ。半導体の製造を担うRapidusが、プロセスごとに、ユーザーであるファブレス半導体メーカーの設計者に提供する。「PDKの0.2は既にリリースをした。PDKの0.5を2025年度中にリリースして、顧客による試作が開始できる環境を整えていくことが大きなテーマとなる」(小池氏)。
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