パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションは、宇都宮工場の一角において、検査済み再生品事業の“再生”を担う中核拠点としてリファービッシュ工程を拡張した。2025年6月17日からは同工程の見学を受け入れている。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションは、映像/音響/通信関連機器の製造/サービスを担う宇都宮工場(栃木県宇都宮市)の一角において、検査済み再生品事業の中核拠点として、初期不良品などをもう一度使える状態にするリファービッシュ(再生)工程を拡張した。
同工場は、地域に開かれた資源循環型モノづくりのショーケースとしての役割もあり、2025年6月17日からは一般の見学を受け入れている。それに先立ち、同月5日、報道陣向けにリファービッシュ工程を公開した。
パナソニックグループは2022年に、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを柱とした「Panasonic GREEN IMPACT」を策定した。カーボンニュートラルでは、現在の世界のCO2総排出量300億t(トン)の1%以上の削減インパクトの創出を、サーキュラーエコノミーでは、製品/サービスを通じて天然資源の価値を最大化し、環境負荷の低減を目指している。
そして、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みとして、国内のB2C事業向けには「長く安心して使い続けていただく」「作った商品を長く使っていただく」を進めている。
長く安心して使い続けていただくでは、国内約100拠点でリペア/メンテナンス事業を行い、修理件数は年間160万件に上る。従来のエアコンクリーニングに加え、2024年9月からドラム式洗濯乾燥機のヒートポンプユニットのクリーニングも全国展開している。パナソニック マーケティング ジャパン ダイレクト事業戦略室 新規事業推進部 部長の渡邊暦氏は「購入後もリペア/メンテナンスによる製品の長寿命化を図り、購入後も安心して使い続けていただく取り組みを進めている」と話す。
作った商品を長く使っていただくでは、2020年からECサイト「Panasonic Store Plus」を通じて食器洗い乾燥機や冷蔵庫、掃除機などのサブスクリプション(定額利用)型サービスを提供。2024年4月からは、サブスクリプション型サービスの契約終了後の商品や初期不良品、店頭展示の戻り品などに対して、もう一度使える状態にして、パナソニック検査済み再生品として提供するリファービッシュ事業を開始した。
リファービッシュ事業は拡大している。当初はドラム式洗濯乾燥機やヘアドライヤー、冷蔵庫など8カテゴリーだったが、順次広がり、現在は13カテゴリーになっている。パナソニック検査済み再生品はPanasonic Store Plusで販売しているが、食器洗い乾燥機、ドライヤーに関してはサブスクリプション提供のみとなっている。
これまでは社内の評価でAランクとされた、かなり状態の良い商品だけを再生してきたが、Aランクと比べると少し使用感のあるB、Cランクの商品の再生を2025年2月から始めた。再生は、外観、商品の庫内/洗濯槽内など、製造年、使用時間/回数、臭気の5項目に独自の基準を設けて行っている。同様の項目でランク付けもされている。
「中古再生市場は確実に伸びてきており、家電もその中に含まれる。成長性がある中で、メーカーからではの知見や再生技術、保証を強みとして、カテゴリーの拡大を積極的に進めていきたい」(渡邊氏)
13カテゴリーのうち、7カテゴリーの再生を担っているのが、宇都宮工場だ。
宇都宮工場は1967年にブラウン管テレビの工場として操業を開始した。2000年代には液晶テレビ、プラズマテレビを製造し、2017年からは有機ELテレビの生産を開始した。ただ、テレビなどの量産製品は海外に生産移管しており、現在は透明有機ELやデジタルパワーアンプなど業務用オーディオ機器、HE機器(送信機)やSTB(受信機)などのケーブルテレビ機器、スマートガスメーター用無線機などのガス事業用機器といった、多品種少量のモノづくりを行っている。これらを約250人の従業員で年間約70万台生産している。そこに加わったのがリファービッシュ事業だ。
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