富士電機は「IIFES 2025」において、新たに自社内で実証を進めているAI外観検査装置や、AI作業動画診断システムなど各種AIソリューションを紹介した。
富士電機は「IIFES 2025」(2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト)において、新たに自社内で実証を進めているAI(人工知能)外観検査装置や、AI作業動画診断システムなど各種AIソリューションを紹介した。
富士電機は、モノづくりのデジタル変革を実現するFAコンポーネント、各種DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション、これらの活用事例などを一連の流れで紹介。その中でDXについては、生産現場のAI活用における精度向上や省人化を実現する製品群を紹介した。
その1つが、AI外観検査装置だ。まず、製造ラインを流れるワークをカメラで撮影し、その良品画像をAIが学習し正常範囲を定義する。その学習の結果を基に、判定時に正常範囲からのずれ度合いが高い場合、アラートを発報するとともに、ずれが大きい部分を示す。「もともとは自社工場で使うために開発したが、外部にも展開している。独自の処理の高速化技術により高度なAI判定をタクトタイムの短い検査工程でも活用できる」(担当者)としている。
実際に富士電機関連の工場での導入効果も出ているという。例えば、富士電機機器制御の大田原工場では、ブレーカのケースの自動検査をこのAI外観検査装置で実施し、従来は2人の検査員を常駐させていたが、1人に削減できたという。また、デジタル化による判定基準の一律化や検知漏れの防止、トレーサービリティの確保にも貢献しているという。「自社工場での実践結果があるため、現場の負荷にならない導入などのノウハウがある点も強みだ。生産ラインやワークの種類に適用するための知見なども提案できる」(担当者)としている。
もう1つは、2026年度の発売を予定し、今回参考出品された「作業動画診断システム」だ。これは組み立て工程など人作業での適用を想定し、作業をしている様子を動画で撮影する。これを骨格推定AIにより動作判定をし、正しい動作から外れた場合、作業ミスを即座に検知してアラートを送るというものだ。製造情報と録画データをひも付けており、トラブル発生時の確認のための検索性なども確保する。作業ミスによる手戻り削減や、不良品の流出防止に貢献する。
現在開発中で実証なども進めているため、機能は変更する可能性があるが、現状では「ライブビュー機能」「録画検索/トレーサービリティ機能」「異常作業検知機能」「製造情報取得機能」「異常通知機能」などの機能を盛り込む予定だという。「もともとは作業内容の記録と後で確認するためのシステムとして開発したが、AIの進化がある中でトラブル発生時にその場ですぐにミスや不具合を修正できるようにしたいと考えた」と担当者は開発経緯について説明している。
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