物流の自動化はロボットを導入すればすぐに実現できるものなのだろうか。ラピュタロボティクスへのインタビュー後編では、導入企業が陥りがちな本社と現場の分断や、自動化成功の条件に迫る。CLO(最高物流責任者)義務化に向けて、現場のキーマンの存在がカギになる。
深刻化する人手不足を背景に、物流現場の自動化を進める動きが加速している。しかし、ロボットや最新設備は「ただ買って導入すれば解決する」というものではない。
物流自動化に注力するスタートアップであるラピュタロボティクスのインタビュー記事の前編では、レッドオーシャン化する自動化機器ベンダーでの生き残り戦略や、カスタマーサクセスの重要性を中心にとりあげた。今回の後編では、導入企業が陥りがちな、現場との分断といった組織的課題や、自動化を成功に導くためのノウハウを深堀りする。引き続き、ラピュタロボティクス VP of Business ASRS営業部長の鈴木匡嘉氏と、同AMR事業部営業部長の尾形達也氏に話を聞いた。
MONOist 前編ではベンダー側の視点で伺いましたが、一方で導入する側、つまり「選ぶ側の企業」についてはどうでしょうか。自動化がスムーズに進む企業と、途中でつまずいてしまう企業。それぞれの特徴や、成功するための秘訣(ひけつ)があれば教えてください。
鈴木氏 導入プロジェクトに関わる方々が「物流の自動化は、入れて終わりではない」ということをどれだけ肌感覚で理解しているか、という点に尽きる。
過去にDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化に挑戦して苦労した経験がある企業は、導入後の微調整や、運用の習熟に時間がかかることを最初から織り込んでプロジェクトを立てている。一方で、初めて導入する企業は「魔法のつえ」を手に入れるような感覚で、ボタン1つで全てが解決すると思い込んでしまうケースがある。この認識のギャップが、後のつまずきに直結する。
尾形氏 ロボットや最新機器を「入れて終わり」だと思っている顧客は、導入後に苦労することになる。入れた後が一番大事で、ベンダーと顧客がお互いに歩み寄って運用を改善していく必要があるからだ。
そこの認識が最初からズレていると、「なぜ動かないんだ」と不満につながってしまうが、そもそも自動化とはそういうものではない。ロボットは「生き物」に近い。現場に合わせて育てていくものだという共通認識を持てているかどうかが、1年後の生産性に天と地ほどの差を生む。
MONOist 過去に取り上げた、国分北海道の導入プロジェクトなどは、まさにその目線合わせがうまくいった事例だったのでしょうか。
尾形氏 (食品卸売会社の)国分グループは地方ごとに法人化されており、独立採算的な要素がある面白い組織体制をとっている。地方によって意思決定のスピードに差がある中で、国分北海道の場合は、本社側が全体最適化への明確な目線を持っていた。将来的な運べなくなるリスクへの危機感も非常に強く、それが原動力となってスムーズに進んだ。
鈴木氏 上層部だけが威勢よく旗を振っても、現場が置いてけぼりでは決して成功しない。そもそも物流は、ひとたび止まれば出荷ができず、売り上げも立たなくなる「ミッションクリティカル」な業務だ。だからこそ、現場が慎重になるのは当然だが、成否を分けるのはその慎重さを超える覚悟があるかどうかだ。
自動化を成功させる企業は、国分北海道の事例のように、自社と自動化機器ベンダーを切り分けるのではなく、1つの目標に向かうワンチームとして動いている。稼働中の現場に新しいロボットを導入するのは決して簡単なことではない。だからこそ、初期段階から上層部から組織の末端まで、意識を統一できるかが最大のカギになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク