本連載では、自動化に初めて取り組む中堅中小企業の製造現場向けに協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機にフォーカスして、自動化を成功させるための導入前(準備)、導入時(立ち上げ)、導入後(運用)におけるポイントを解説する。今回は、「無人搬送機」について記述する。
前回は、製造現場での要望が多い自動化機器(協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機)の中の「外観検査機器」について述べた。今回は、「無人搬送機」について記述する。
無人搬送機は、協働ロボットや外観検査機器ほど設定や仕組みが難しくなく、省人化の費用対効果も分かりやすいことから、無人搬送機を導入したり、導入を検討したりする中堅中小の製造現場が増えてきている。しかし、AGV(無人搬送車)とAMR(自律型搬送ロボット)のどちらを導入するのがいいか迷っている製造現場も多い。本稿では無人搬送機の導入時における注意点ついて述べる。
昨今のAI(人工知能)技術の劇的進展とそれに伴うロボットシステムの進化を踏まえ、本稿では現時点でできることを中心に話を進めていく。
本連載で単に「ロボット」と記述する場合は、協働ロボットや状況に応じて自らの判断で対応できるサービスロボットを、「自動化機器」と記述する場合は、外観検査機器やAGV、AMRなどの無人搬送機を指す。
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製造現場で主に工程間の運搬に活用されている無人搬送機には、磁気テープやランドマーク(サインポストやQRコードなど)によって誘導されるAGVと、LiDAR SLAM※1やセンサーで自ら周囲の状況を認識して、障害物を避けながら走行するAMRがあり、用途(軽量の部品や重量物の運搬など)に合わせて選択することができる。
AGVは2拠点間の繰り返し走行に適しており、AMRは既存設備でのフレキシブルな稼働に適している。日本でこれらの無人搬送機を取り扱っている企業は70社程度ある※2。
※1 LiDAR(レーザーによる距離/形状計測)とSLAM(自己位置推定/地図作成)を組み合わせた技術。ロボットやAMRなどに活用されている
※2 ロボットメディア調べ(2025年8月時点)
AGVやAMRの搬送方法としては、GTP(棚移動型)、アタッチメント取付型、けん引型、その他(片持ちなど)に大別される。GTPは取扱量や品目数も多い物流施設に適し、けん引型は工場での重量物の運搬に利用されることが多い。
製造現場で最も活用されていると思われる無人搬送機は、AGVの「KEY CART」(トヨタL&F)で、全国で5000台以上が稼働しているようだ※3。積載/潜り込みけん引用の基本タイプとけん引専用のショートタイプがあり※4、現場に後付けも可能だ。誘導路は磁気テープを貼るだけとなっており、コース設定やレイアウト変更もユーザーがExcelベースで実施できる。
一番の特徴は、約60種のオプション(前後進、自動充電、方向指示器など)から現場に合わせたカスタマイズが可能なこと。他製品に比べて構造が単純で、問題が生じてもユーザー自身で解決できることや、AMRより低価格で導入可能なことなどから、ユーザーの支持を得ているようだ。
※3 トヨタL&FのWebサイトより(2023年12月時点)
※4 磁気テープ不要なSLAM式キーカートもある
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