外観検査機器の導入時の注意点〜何ができるのか、できないのか中堅中小製造業の自動化 虎の巻(6)(1/2 ページ)

本連載では、自動化に初めて取り組む中堅中小企業の製造現場向けに協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機にフォーカスして、自動化を成功させるための導入前(準備)、導入時(立ち上げ)、導入後(運用)におけるポイントを解説する。今回は、外観検査機器について触れる。

» 2026年02月09日 07時00分 公開

 前回は、製造現場での要望が多い自動化機器(協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機)の中の「協働ロボット」について述べた。

 今回は製品のキズや汚れ、色ムラなどの不良を自動検出して、良否判定を行う「外観検査機器」について記述する。

⇒連載「中堅中小製造業の自動化 虎の巻」のバックナンバーはこちら

留意点

 昨今のAI(人工知能)技術の劇的進展とそれに伴うロボットシステムの進化を踏まえ、本稿では現時点でできることを中心に話を進めていく。

 本連載で単に「ロボット」と記述する場合は、協働ロボットや状況に応じて自らの判断で対応できるサービスロボットを、「自動化機器」と記述する場合は、外観検査機器やAGV(無人搬送車)、AMR(自律型搬送ロボット)などの無人搬送機を指す。

外観検査機器の選び方

 人手作業の中で、最も自動化の要望が多いのは外観検査機器だろう。

 外観検査は納品する部品の質(傷や塗装のムラなどがないか)を決める重要な作業であり、人による目視に多くの時間と労力を費やしている企業は多い。

 人による目視は専門性が必要だったり、経験に左右されたり、ヒューマンエラーによる見逃しリスクがあったりする課題を抱えている。目視検査を自動化することで、作業が高速化され、生産性の向上や品質の均一化が図られることが期待されている。

 基本的に外観検査は、画像で良品と不良品を選別する作業なのでAIと相性が良い。そのため、参入は比較的容易であることから、AIスタートアップをはじめ、大手や中堅メーカー、システムインテグレーターなどが新規事業として、AI外観解析ソフトウェアを発売している。日本でAI外観解析ソフトウェアを取り扱っているのは主だった企業だけでも35社程度ある※1

図1 外観検査機器の選び方 図1 外観検査機器の選び方[クリックで拡大]

 AIとカメラ、センサーとの組み合わせが多いが、NG品を排除するための排除機構(ゲート切替、プッシュ式)やロボットと連携するタイプもある。

 精度が求められるため、カメラやセンサー、照明とのシステム連携の良しあしが成否を決めるポイントになる。カメラは、キーエンスやコグネックスの製品を使用している現場が多い印象だ。

 AIによる画像判定を行う場合、事前に良品と不良品の画像をAIに学習させる。通常、不良品の画像を数十枚用意することが多いが、不良品の画像データがなくても良品の画像データのみを使ってAIに学習させる製品もある。

※1 ロボットメディア調べ(2025年8月時点)

導入に際して留意すべきこと

 外観検査機器を導入する場合、以下のことに留意する。

  • 得意なこと

小さいもの、固定できるもの、単品、単純な形状

  • 不得意なこと

大きいもの、動いているもの、多品種、複雑な形状

 小さなねじやボルトなどの外観検査は自動化しやすいが、パネルのような大きなものや自動車に使われる複雑な形状の留め具やクリップなどは、自動化のハードルが高い。単純な平面の部品であれば表と裏を2台のカメラを使って同時に検査することもできるが、折れ曲がっていたり、入り組んでいたりする複雑な形状のものは非常に難しい。

 ロボットを使って多面的に部品を撮影したり、複数台のカメラを駆使して時間をかけて検査したりするので良ければ自動化もできるが、費用が掛かりすぎてしまう。

 また、10種類くらいの品数の外観検査なら何とか自動化できるかもしれないが、その場合は似たような形状(例えば平で穴が1カ所など)の部品のみなど制約がある。多品種を少量生産している中堅中小の製造現場での目視による外観検査は、1点当たり数秒で行われることが多く、1日のうちに何百何千の異なる種類の部品が納品されている。

図2 外観検査機器の得意、不得意 図2 外観検査機器の得意、不得意[クリックで拡大]

 自動化の必要性があるのは間違いないのだが、1点を検査するのに30秒や1分以上もかかるようでは話にならないということになる。

 単価数十円の部品の外観検査を自動化するにはその精度はもちろん、スピードとコストが求められている。今のところ、外観検査を自動化ができる部品、部材はかなり限られているため、もう一段の技術的飛躍が必要だろう。

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