「2027年にヒト3割、ロボット7割」モノづくり企業花王が描くスマート工場ファクトリーイノベーションWeek2026(1/2 ページ)

「ファクトリーイノベーションWeeK2026」の最終日に、花王が「花王のスマートファクトリー実現に向けた現状と課題」と題した特別講演を実施。自動化から自律化へのカギとなる統合制御などについて語った。

» 2026年02月24日 06時00分 公開
[中野龍MONOist]

 2026年1月21〜23日に東京ビッグサイトで開催された「ファクトリーイノベーションWeeK2026」の最終日に、花王 技術開発部 メカトロニクスグループ グループ長の小林英男氏が特別講演に登壇。「花王のスマートファクトリー実現に向けた現状と課題」をテーマに、グローバルの36工場で進める1000人規模の省人化、少量多品種生産を可能にする独自のダイナミックセル生産システムの導入事例、そして自動化から自律化へのカギとなる統合制御などについて語った。

花王が直面する製造プロセス最大の課題とは

 国内大手の日用品メーカーである花王が、製造現場の抜本的な変革に乗り出している。そのキーワードは「スマートファクトリー」。だが、同社が思い描くのは単なる自動化工場ではない。AI(人工知能)やロボット、そして人の知恵を高度に統合した“完全自律型”の生産システムだ。

 花王は1887年創業、間もなく140年周年を迎える。石けんなどを販売する洋小間物商が発祥で、現在は洗剤やシャンプー、紙オムツ、化粧品など幅広い製品を手掛ける。2024年12月期累計の連結業績で売上高は約1兆6000億円、国内外で約3万2000人の従業員を擁する大企業だ。

花王の小林英男氏 花王の小林英男氏

「まだ売り上げの半分以上を日本国内が占めており、今後さらに成長するためには、海外をいかに伸ばしていくかが重要だ」(小林氏)

 花王は、グルーバルでの競争力強化の基盤として、製造現場の高度化を位置付けている。国内10工場、海外26工場を展開する同社にとって、製造現場の高度化はコスト削減にとどまらず、事業成長そのものを左右する要だ。

 同社の製造技術を語る上で欠かせないのが、独自のエンジニアリング体制だ。生産技術は、商品企画後の“下流”工程として位置付けられるケースも多い。しかし、同社の研究開発は商品開発研究部門と基盤技術研究部門で成り立っており、両者は共同で研究を推進。製品の製造プロセスの開発を行う加工・プロセス開発研究所は、基盤技術研究部門に属し、200人超の研究エンジニアが先進的な生産プロセスの開発に挑んでいる。

「技術だけでなく、人も含めて交流させることで、花王全体のエンジニアリング力を高めている。これがイノベーティブな技術を生み出す強みになっている」(小林氏)

講演会場には大勢の聴講者が 講演会場には大勢の聴講者が

 同社の製造最適化を阻んできたのが、世界でも類を見ないレベルの多岐にわたる品種構成だ。剤型(ざいけい)は液体、粉体、シート、成形品などさまざまで、包装もパウチから箱詰め品まで多種多様な構成になっている。

「数年前まで国内だけで1万近いSKU(ストックキーピングユニット)があったが、生産効率が悪く在庫も増えるため、現在は6000SKUまで縮小した。そのうち化粧品が3500SKUを占めている。またグローバル全体では、まだ1万超のSKUがあり、この集約も今後の課題だ」(小林氏)

 さらに、同社の事業領域は“大量生産”と“少量多品種”が共存する特殊な構造で、家庭品と化粧品で二極化する生産方式も大きな障壁だった。

「すでにオムツやナプキンなどの家庭品では毎分1000枚を超える高速大量生産を実現しているが、化粧品に代表される品種替えが頻繁な少量多品種生産は人手に依存しており、最も自動化が難しい領域だ。ここを、どう人依存から脱却するかが大きなテーマとなっている」(小林氏)

 “大量生産”と“少量多品種”の“2階建て構造”が、花王のスマートファクトリー化に立ちはだかる最大の課題だった。

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