協働ロボットの導入時における注意点〜“半完成品”の扱い方中堅中小製造業の自動化 虎の巻(5)(1/2 ページ)

本連載では、自動化に初めて取り組む中堅中小企業の製造現場向けに協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機にフォーカスして、自動化を成功させるための導入前(準備)、導入時(立ち上げ)、導入後(運用)におけるポイントを解説する。今回は、協働ロボットの選び方や導入時の留意点を解説する。

» 2026年01月16日 07時00分 公開

 前回は、自動化機器、ロボットシステムを導入(立ち上げ)、運用する際の注意すべき点やロボットSIer(システムインテグレーター)の選び方などについて述べた。今回は、自動化機器(協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機)の中でも製造現場での要望が多い協働ロボットについて記述する。

⇒連載「中堅中小製造業の自動化 虎の巻」のバックナンバーはこちら

留意点

 昨今のAI(人工知能)技術の劇的進展とそれに伴うロボットシステムの進化を踏まえ、本稿では現時点でできることを中心に話を進めていく。

 本連載で単に「ロボット」と記述する場合は、協働ロボットや状況に応じて自らの判断で対応できるサービスロボットを、「自動化機器」と記述する場合は、外観検査機器やAGV(無人搬送車)、AMR(自律型搬送ロボット)などの無人搬送機を指す。

ニーズが高まる協働ロボット

 人手不足を背景に、加工機への投入や取り出し、ねじ締め、溶接、シール塗布、組み立てなど、さまざまな工程に協働ロボットが導入されるケースが増えてきている。

 日本で扱われている協働ロボットメーカーは国内外で50社程度※1あり、短腕と双腕のタイプが販売されている。協働ロボットをAMR(自律搬送型ロボット)やキャニスターに乗せて動かすことができる可搬タイプもある。

協働ロボットの選び方[クリックで拡大]

 多くの協働ロボットが発売されているが、グローバルではデンマークのUniversal Robots(以下、UR)が累計販売台数10万台以上など豊富な実績を持つ。

 軽いワークから重たいワークまで扱える幅広いラインアップをそろえ、初心者でもティーチングが比較的簡単なことやロボットプログラミングの基礎が学べるeラーニング講座を開講している。また、実際の環境を再現したロボットセルをユーザーが仮想空間上に構築して、周辺機器のレイアウトやロボットの動作環境全体をシミュレーションできるオンラインシミュレーションツールを用意するなど、機器導入の心理的ハードルを下げる体制を整えている。

 そして一番の特徴は、ロボットアームの開発に特化し、システム全体を簡単にしていく「UR+」と名付けられた周辺機器群を展開していること。

 URのロボットアームの仕様やインタフェースをオープンにし、それらに準拠するエンドエフェクター(ハンド)やカメラ、センサーなどの周辺機器をデベロッパーが開発。URによる検証、認証を経て、デベロッパーはUR+製品としてグローバルで販売するエコシステムを構築している。

 URに最適化されたUR+の製品はプラグ&プレイ※2で使えるため、ユーザーやロボットSIerがシステム構築にかける費用や負担も削減できる。UR+はロボットの優れたビジネスモデルであり、これを模範として、似たような仕組みを取り入れている日本のロボットメーカーもある。

※1 ロボットメディア調べ(2025年8月時点)
※2 難しい設定なしに機器が使えるようにする技術、機能

協働ロボットは“半完成品”

 協働ロボットは本体のアームだけでは用をなさない“半完成品”だ。ロボット本体と周辺関連機器などのリソース※3を組み合わせることで自動化を実現し、製造ラインの変更などに短期間に対応する「柔軟性」に特徴がある。

 ロボットに作業を行わせる上ではアーム先端にどのようなエンドエフェクター(ハンド)を使うかが重要であり、ロボットアーム自体に大きな違いはなく、技術的な差別化が難しい機器でもある。

 そのため、性能に大きな違いがないのであれば、低価格を求める傾向にある。

 実際、台湾のTechman robotや中国のJAKA Robotics、Dobot Roboticsなどの東アジア諸国の製品を導入する企業や機関が増えてきており、導入候補製品として名前が挙がることも多くなっている。

 また、パナソニックコネクトの「ロボット制御プラットフォーム」のようにオープンなプラットフォームを使用することで、さまざまなメーカーのロボットアームを制御できるようにもなってきている※4

※3 周辺関連機器(カメラ、センサー、ハンド、ソフトウェア:AIなど)及びシステムインテグレート(設計、運用)
※4 接続動作確認済みの協働ロボットメーカー:日本(ファナック)、デンマーク(Universal Robots)、中国(AUBO Robotics、Dobot Robotics、Elite Robot)出所:パナソニックコネクトニュースリリースより(2025年6月30日)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR