協働ロボットの導入時における注意点〜“半完成品”の扱い方中堅中小製造業の自動化 虎の巻(5)(2/2 ページ)

» 2026年01月16日 07時00分 公開
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協働ロボットの得意不得意

 協働ロボットを導入する際は、まず得意、不得意な作業がある点に留意する。

・得意なこと:小さく軽いワーク、固定されているワーク、数種類の取り扱い

・不得意なこと:重いワーク(50kg以上)、動いているワーク、多品種の取り扱い

 ねじや部品などの小物や溶接、穴あけ、研磨、箱詰めなどで導入事例が増えつつあるが、基本的には、小さくて軽く、単一の固定された反復作業の現場に用いられることが多い。多品種少量生産品や重量物、動いているワークなどはまだまだハードルが高い。

協働ロボットにも得手不得手がある 協働ロボットにも得手不得手がある[クリックで拡大]

協働ロボット導入時の留意点

 協働ロボットを導入する場合の主な注意点を以下に挙げる。ただし、例外もあるので機器詳細はメーカーに確認してほしい。

  • 出力や動作速度の制限

 協働ロボットは、人と安全に共存するために出力や動作速度が制限されている。安全上、高速動作ができないため、産業用ロボットや専用装置の作業性能には敵わず、費用対効果は劣る。

  • プログラミングの調整が必要

 多くの協働ロボットメーカーは、簡単なティーチングですぐに現場導入ができるとうたうが、実際は作業内容に合わせた動作1つ1つを設定する必要があり、専門知識が求められるケースもある。ただし、今後はAIの進化に伴い、事前プログラミングを必要としない、その場の作業にすぐに対応できるロボットも出てくるだろう。

  • 互換性がない

 ロボット関連機器間の互換性がないため、ロボットメーカー各社の機能や環境に合わせる必要がある。

  • 独自の価値を見いだしづらい

 人手作業のような柔軟性はないため、人手と産業用ロボットの間で、独自の価値を発揮できる使いどころを見つける必要がある。

 中堅中小の製造現場では協働ロボットを試しに1台導入するケースが多く見られる。だが、協働ロボットを導入したものの、思っていたような作業効率が上がらないなど、途中で使用することを諦め、人手作業に戻るケースも散見される。

 例え当初の想定通りに作業できないからといって、すぐにダメだと諦めたり、使えないというレッテルを貼ったりしてしまうのは避けたい。

 自動化、ロボット化は時代の流れであり、不確実で「解」のない時代は今後も続く。協働ロボットを導入することで現場自ら思考錯誤しながら新たなアプローチ方法や価値を獲得するきっかけをつくり、社内文化の変革とチャレンジし続ける「マインド」を醸成していくことが、これからの製造現場には絶対必要だ。

協働ロボット導入時の納期や保守、価格

 協働ロボットを導入する際の目安を以下に示す。

  • 納期

 在庫があれば1〜2カ月程度で納入される。

  • 設定

 簡単なティーチングであれば1日で設定は完了する。ただし、ちゃんとした作業ができるよう調整するにはそれなりに時間はかかる。

  • 保守

 「メンテナンスフリー」をうたうメーカーもあるが、点検や消耗品交換は必要なので、通常は年間保守契約を結ぶ。

  • 本体価格

 100万〜600万円台程度。ただし、本体価格だけを見て予算を組んではいけない。協働ロボットはカメラやセンサーなど周辺関連機器との連携(組み合わせ)で運用する「半完成品」である。そのため、周辺関連機器とシステムを組み合わせると価格は膨れ上がる。

 全体購入予算は、本体価格の2〜3倍程度は考えた方がいいだろう。また、別途年間保守契約費用も考慮しておく。

まとめ

  • ロボットアーム自体に技術的な差異が少ない。低価格の海外メーカー製も選択肢に入れてみる
  • 協働ロボットはリソースの組み合わせで決まる。独自の価値が発揮できる使いどころを見つけることが必要
  • 本体価格だけを見て予算を組まない。協働ロボットはカメラやセンサーなど周辺関連機器との連携で運用する「半完成品」。全体購入予算は本体価格の2〜3倍程度は考えておく

 次回(第6回)は、「外観検査機器」について記述する。

著者紹介

小林賢一
株式会社ロボットメディア 代表取締役
NPO法人ロボティック普及促進センター 理事長

 2005年から20年間にわたりインフラ・プラント点検、建築施工、製造工場、介護・高齢者見守り、生活支援などの分野でロボット関連技術の調査、開発支援、実証実験、利活用、セカンドオピニオンに携わり、現在、ロボットビジネスに関するさまざまな相談に応対している。

 ロボットビジネスのプレイヤーとして新たな活躍を目指すための講座(日本ロボットビジネス体系講座)や、与えられた「解」ではなく、自ら「解」を導き出し、収益につながるビジネスモデルをコーチングするワークショップ(ロボットビジネス・マインドリセット)を主宰。書籍「ロボットビジネスの全貌シリーズ」の監修、発行も行った。利害関係のない中立で公正な「ロボット・セカンドオピニオンサービス」や、異なる領域・用途にも利用可能な両用技術で既存事業と極限環境双方から収益確保を目指す研究会「ハイブリッドデュアルユース/ダブルインカム」などを実施。

ロボット産業創出推進懇談会 座長(2016〜2021年)
ロボット保険サービス 代表(2012〜2021年)
かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会 事務局長(2011〜2015年)
ロボット実証実験実行委員会 委員長(2011〜2014年)
介護・医療分野ロボット普及推進委員会委員(2010〜2012年)など


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