本連載では、自動化に初めて取り組む中堅中小企業の製造現場向けに協働ロボット、外観検査機器、無人搬送機にフォーカスして、自動化を成功させるための導入前(準備)、導入時(立ち上げ)、導入後(運用)におけるポイントを解説する。今回は、自動化機器/ロボットシステムの立ち上げ時やその後の運用の際に注意すべき点などについて記述する。
前回は、ロボットなどの自動化機器/システムを導入する前に行っておくべき事柄(導入前 準備)について述べた。今回は、自動化機器/ロボットシステムを導入(立ち上げ)し、運用する際に注意すべき点などについて記述する。
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昨今のAI(人工知能)技術の劇的進展とそれに伴うロボットシステムの進化を踏まえ、本稿では現時点でできることを中心に話を進めていく。
本連載で単に「ロボット」と記述する場合は、協働ロボットや状況に応じて自らの判断で対応できるサービスロボットを、「自動化機器」と記述する場合は、外観検査機器やAGV(無人搬送車)、AMR(自律型搬送ロボット)などの無人搬送機を指す。
前回紹介した「見える化」シートを作成し、製造現場全体を俯瞰して、自動化したい工程ごとの優先度付けが終わると、いよいよ導入する自動化機器の選定を行うことになる。
製造現場での要望が多い自動化機器を取り扱う主な国内外メーカーは、協働ロボット50社程度、外観検査機器35社程度、無人搬送機70社程度ある(ロボットメディア調べ、2025年8月時点)。
その中からまず10社程度をリストアップすべきなのだが、この選定作業は案外難しい。製品価格は製品選定の重要な要素ではあるが、価格だけで決めるわけにはいかない。現場の状況、将来的な拡張性やネットワーク連携なども十分考慮する必要がある。選定作業はできるだけ専門家と相談して、決定することをお勧めする。
その後、機能面や使い勝手、おおよその価格、メンテナンス対応など、総合的に判断した上で、3〜5社程度に絞り込む。その場合、たとえ今回は機器導入に至らなくても、今後の参考となるようメーカーや機能を十分考慮した上で選択する。
リストアップした製品の中には、海外メーカーの製品もあるだろう。
海外メーカーは基本的に日本における代理店を通して、製品を販売している。製造現場に最も適し、価格もリーズナブルな製品であれば購入を検討すべきだが、誤解を恐れずに言えば、海外メーカーは“日本でたくさん売ってナンボ”が基本である。
日本での売り上げが多くなればいいので、導入した後、いろいろ不具合が生じても(日本の企業に比べて)一般的に対応は悪い(遅い)と感じるだろう。
日本の代理店がしっかりしていれば問題ないとはいえ、大手企業とは異なり、特にソフトウェアの知見がある従業員が少ない、あるいはほとんどいない中堅中小の製造現場の場合は、よくよく考えた上で判断したほうがいい。導入後に現場担当者が苦労するケースが散見される。
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