使い勝手や価格面、安全面など総合的に判断して、導入する協働ロボットや無人搬送機も決まった。しかし、当たり前だが、ロボット本体を導入しただけでは何も稼働しない。そこで、現場に対応したシステムを設計(構築)することになる。
システム設計をメーカーやユーザー自身が行うこともあるが、カメラやセンサーなどの周辺関連機器との連携や複雑な動作などが必要な場合は、専門のシステムインテグレーター(SIer)が現場で対応することになる。
本稿では専門のシステムインテグレーターを「ロボットSIer」と呼ぶことにする。機器導入後のトラブルの大半は、システム絡みということもあり、ロボットSIerの良しあしが自動化機器導入の成否に大きく関わってくる。
実際、現場でのロボットSIerの対応が悪く、他にもっといいロボットSIerがあれば紹介してほしいという相談や要望はどの現場からも聞こえてくる。ユーザー担当者は、なにか不具合が生じたらすぐ飛んできて、短時間で問題を解決してくれるロボットSIerを望んでいる。面倒見がよく、親身になって、しかも無料で対応してくれて、といったかなり都合のいい考えを持つユーザー企業はまだまだ多い。
ロボットSIerからすれば、お金も出さない(ケチ)のに時間と労力ばかり取られ、いつまでも手離れの悪いクライアントだという思いだろう。そうなってしまったら、お互い不幸だ。
では、どうすれば良いロボットSIerと出会うことができるのか。結論から言えば、これはなかなか難しい。
国内には1000社以上のSIer企業があるといわれ、「日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)」への参加企業だけでも300社以上ある。その中から自社にとって最適なロボットSIerを見つけ出すことは容易ではない。
こうしたユーザーとロボットSIerの不幸な関係をなくそうと、経済産業省と日本ロボット工業会が中心になり、ロボットSIer、ユーザー双方が納得した上でシステム設計を行う「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)のスキル標準・プロセス標準」を策定(2017年6月)した。この中では、ロボットSIerとしてどの分野の能力に秀いでているのか、もしくは不足しているのかを「見える化」している。
顧客との確実な合意形成を実現させ、ロボットシステム構築プロセスの最適化を目指しているが、あまり機能していないようだ。
ユーザーとの相性(企業文化、地域特性など)もあるため、スキルだけでは判断できないこともあり、ユーザー企業にとってどのロボットSIerが最適かは一概には言えないが、参考までに選ぶポイントを挙げる。
ロボットSIerを選ぶポイント(一例)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム