外観検査機器の導入時の注意点〜何ができるのか、できないのか中堅中小製造業の自動化 虎の巻(6)(2/2 ページ)

» 2026年02月09日 07時00分 公開
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納期/設定/価格/保守

 外観検査機器を導入する際の目安を以下に示す。ただし、例外もあるので機器詳細はメーカーに確認してほしい。

納期

 3〜6カ月程度。関連周辺機器とのシステム連携による調整、在庫の有無などにより、もっと早い場合もあれば、時間がかかる場合もある。

 その間、外観検査メーカーはユーザーから提供された不良品の画像データを取り込み、AIに良品、不良品を判定させる精度を上げる作業を行う。

設定

 2〜4カ月程度。対象となる部品・部材にもよる。

 複雑な形状の部品を外観検査する場合、周辺機器との調整に想定以上の時間がかかることもある。特に工場によっては現場の環境がまちまちなこともあり、照明の当て具合に手間取る場合が多い。

 特に朝日や夕日が差し込むような環境下では安定した稼働が難しい。稼働後に工場内の光量が変化して、設定をやり直すこともある。

 また、部品をベルトコンベヤーに乗せて移動させ、カメラで映す場合は決められた位置に正確に止めることが必要になるため、その調整や変更に時間がかかることもある。

 なお、関連周辺機器(カメラ、センサー、排除機構、ロボットなど)との組み合わせになるため、現場設定はSIer(システムインテグレーター)またはロボットSIerが行う場合がほとんどである。

 画像上の良品/不良判定に不具合がある場合、外観検査メーカーは現場には立ちあわず遠隔で修正することが多い。

価格

 100万〜300万円台程度。サブスクリプションでの提供やレンタルできる場合もある。上記はソフトウェアの価格である。

 カメラや照明、ロボットなど関連周辺機器とのシステム連携などに、さらに1000万円程度〜かかるため、価格は膨れ上がる。購入予算は、1000万円〜と考えておいた方がいいだろう。

 外観検査の自動化は、設定時、導入後も含め、トラブルに見舞われるケースを散見する。不具合があった場合、外観検査機器メーカーは電話やメールでの対応がほとんどであり、現場に駆け付けることはほとんどない。

 導入/設定にロボットSIerが絡んだとしてもソフトウェアの調整/更新などはユーザー側の担当者が行うことになる場合が多いので注意が必要だ。

 心配な場合は事前にメーカーやロボットSIerなどの関係者と十分協議を行い、トラブル時の対応や追加料金が発生する場合の要件、保守期間などについて文書で取り交わしておいた方がいいだろう。

 トラブル対応にユーザー担当者が時間と労力を使い、工程が止まってしまうプレッシャーに神経をすり減らしてしまう現場も散見される。思うように外観検査の自動化が進まないのはユーザー、メーカー双方にとって不幸だ。

 AIなら何でもできそうという思い込みは特に危険だ。こんなハズではなかったと双方が後悔しないよう関係者間でコミュニケーションをしっかり行い、AIが現状でできることの認識を共有しておくことが重要だ。

保守

 基本的に年間保守契約を結ぶ。特にトラブル時の対応について事前に確認しておくこと。

まとめ

  • 外観検査はAIと相性が良い

 外観検査は画像により、良品と不良品を選別する作業なのでAIと相性が良い。しかし、動いているものや複雑で多品種な形状に対応できないなど、自動化可能な部品/部材は限られている。また、スピードとコストが求められる製造現場でユーザーを満足させるには、もう一段階の技術の飛躍が必要だろう。

  • ソフトウェア価格は高くない

 関連周辺機器とのシステム連携などで価格は膨れ上がる。予算措置は慎重に。

  • 外観検査の自動化はトラブルも多い

 外観検査の自動化は設定時、導入後も含め、トラブルに見舞われることも多い。事前に外観検査メーカーやロボットSIerとの間で追加料金が発生する場合の要件、保守期間などについて文書で取り交わしておく。

 次回(第7回)は、「無人搬送機」について記述する。

著者紹介

小林賢一
株式会社ロボットメディア 代表取締役
NPO法人ロボティック普及促進センター 理事長

 2005年から20年間にわたりインフラ・プラント点検、建築施工、製造工場、介護・高齢者見守り、生活支援などの分野でロボット関連技術の調査、開発支援、実証実験、利活用、セカンドオピニオンに携わり、現在、ロボットビジネスに関するさまざまな相談に応対している。

 ロボットビジネスのプレイヤーとして新たな活躍を目指すための講座(日本ロボットビジネス体系講座)や、与えられた「解」ではなく、自ら「解」を導き出し、収益につながるビジネスモデルをコーチングするワークショップ(ロボットビジネス・マインドリセット)を主宰。書籍「ロボットビジネスの全貌シリーズ」の監修、発行も行った。利害関係のない中立で公正な「ロボット・セカンドオピニオンサービス」や、異なる領域・用途にも利用可能な両用技術で既存事業と極限環境双方から収益確保を目指す研究会「ハイブリッドデュアルユース/ダブルインカム」などを実施。

ロボット産業創出推進懇談会 座長(2016〜2021年)
ロボット保険サービス 代表(2012〜2021年)
かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会 事務局長(2011〜2015年)
ロボット実証実験実行委員会 委員長(2011〜2014年)
介護・医療分野ロボット普及推進委員会委員(2010〜2012年)など


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