IoTやAIの進展によって現在あらためて大きな注目を集めるようになった「CBM(状態基準保全)」。CBMが今なぜ注目を集めるのか、製造業にとってどういう効果をもたらすのかについて、5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の進展によって現在あらためて大きな注目を集めるようになったのが「CBM(状態基準保全)」です。この「CBM」が今なぜ注目を集めるのか、製造業にとってどういう効果をもたらすのかについて、5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。
「CBM」とは「Condition Based Maintenance」の略語で、日本語では「状態基準保全」と表記します。工場では安定した品質や生産性を保つために、生産活動を支える機械や設備の点検や修理などを行う活動が必要になります。これらは「保全活動」といわれています。「CBM」は、これらの機械や設備そのものの「状態」や「使用状況」を基に保全活動を行う手法のことを指します。
「CBM」が注目される理由を詳しく掘り下げる前に、まずは主な保全の種類について説明します。保全活動の種類としては、故障が発生してから対応する「事後保全」と、故障が発生していない段階で行う「予防保全」に大きく分かれます。
「事後保全」は故障や機械の不具合などが発生してから、問題を見極め、原因を突き止めて故障を直すという活動になります。一方で「予防保全」は故障が起こっていない段階で、点検や修理、部品交換などを行い、故障や不具合が発生しないようにする活動となります。
この「予防保全」は、基準とするものによって大きく2つに分けられます。時間や期間を基準とする「TBM(時間基準保全)」と、機械や設備の状態を基準とする「CBM(状態基準保全)」です。
「TBM」は期間を決めて修理や部品交換などを行うという手法です。定期メンテナンスなど、使用状況が多くても少なくても一定期間ごとに修理や部品交換などを行います。機械や設備などの使用状況が大きく増減しない場合は適切なメンテナンス周期を設定できれば、多くの場合は故障や不具合を防ぐことができます。一方でそれほど使用しておらずあまり劣化していない部品などの交換も定期的に行うことになりますので、コストやメンテナンス負担が高くなるというデメリットも生まれます。
一方「CBM」は機械や設備、これらの部品の状況や稼働状況などを調べて、劣化状況などに合わせてメンテナンスする手法となります。実際に壊れそうなところをメンテナンスする形であるため、不要なメンテナンスコストを抑えることができる利点があります。一方で、故障の兆候を見落とし、故障や不具合につながってしまうリスクはTBMよりは高いといえるでしょう。また、機械や設備、その部品などを調べて状態を確認するため、これらの状態を把握する技術者のスキルが求められるという点もポイントです。
ここで紹介したように、TBMとCBMはそれぞれ強みと弱みを抱えています。そのため、工場現場では、このTBMとCBMを組み合わせ、それぞれの製品分野や要求される品質や生産性に合わせ、バランスをとりながら保全活動を行っているところが多いといえます。
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