「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」の特別講演に、資生堂 生産部長の大前勝己氏が登壇。「グローバル生産体制における自働化技術課題」をテーマに、資生堂のビジネスの変革と、それに対応する生産体制構築の中で顕在化した課題と解決に向けた取り組みについて紹介した。
包装プロセスの総合 展示会「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」(2019年10月29日〜11月1日、幕張メッセ)の特別講演に、資生堂 生産部長の大前勝己氏が登壇。「グローバル生産体制における自働化技術課題」をテーマに、資生堂のビジネスの変革と、それに対応する生産体制構築の中で顕在化した課題と解決に向けた取り組みについて紹介した。
資生堂は1872年に創業した化粧品メーカーでグループ従業員数約4万6000人、2018年度の連結売上高は1兆948億円に達し、化粧品メーカーのグローバルランキングではロレアル、ユニリーバ、エスティ・ローダー、P&Gに続き第5位に位置する。現在、企業スローガンとして「匠の技術とデジタルの融合」を進めており、「化粧品をつくるのに当たって材料やテクスチャーなどは人でないと分からない。一方で、そこにデジタルをどのように融合していくかが課題となっている」(大前氏)という。
事業面ではグローバル化を積極的に進めており、ブランド×地域のマトリクス型組織体制を構築している。ブランドは、プレステージ(デパートなどで売られている接客対面販売用の高級商品)、フレグランス、コスメティクス、パーソナルケア、プロフェッショナルといった区分で分かれている。これらを日本、中国、アジア太平洋、米州、欧州の各地域とトラベルリテール(航空便の機内販売や空港免税店での販売など旅行者を対象とした小売事業のこと)に分けて、それぞれに対してブランドがグローバルに考え、各地域がそれぞれの商品にあった施策を行うという考えのもとで世界戦略を進めている。同社の地域別売上高は、日本が41.6%を占め、次いで中国が17.4%、米州12%、欧州10.3%、トラベルリテールが8%と続く。最近ではトラベルリテールが伸びており、その大半が中国人による需要だという。
現在資生堂は、2020年度に売上高1兆2900億円、営業利益1500億円、ROE18%を目標とする中長期戦略「Vision2020」を進めている。Vision2020では、資生堂が最も得意とするスキンケア向けの製品群で収益基盤を拡大し、欧州ではフレグランス、米州を中心にメークアップを伸ばす。スキンケアについてはプレステージを主力に、このところ伸びが著しい「ELIXIR」「ANESSA」「専科(SENKA)」といった製品を加えたブランドをアジアで展開し、グローバルでの業績拡大につなげる方針だ。
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