エアコンは社会インフラ、だからこそ日立「白くまくん」は国内生産回帰を進めるモノづくり最前線レポート(1/2 ページ)

「ITmedia Virtual EXPO 2023秋」の「スマートファクトリーEXPO」において、日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田金太郎氏が「日立ルームエアコン『白くまくん』国内生産回帰とその狙い」と題して行った講演について紹介する。

» 2023年11月24日 07時00分 公開
[MONOist]

 ITmedia Virtual EXPO実行委員会が主催し、アイティメディアが展開するMONOist、EE Times Japan、EDN Japan、BUILT、スマートジャパン、TechFactoryの6メディアが企画したオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2023秋」が2023年8月29日〜9月29日に開催された。本稿では、同イベントの「スマートファクトリーEXPO」において、日立ジョンソンコントロールズ空調 ヴァイスプレジデント兼日本・アジア地域ゼネラルマネージャーの泉田金太郎氏が「日立ルームエアコン『白くまくん』国内生産回帰とその狙い」と題して行った講演について紹介する。

 日立ジョンソンコントロールズ空調は、米国に本社を置くビルマネジメント事業大手のジョンソンコントロールズが60%、日立製作所の子会社日立グローバルライフソリューションズが40%を出資し、2015年に発足した総合空調機器メーカーの日本法人だ。日立ブランドの空調製品を開発/製造しており、従業員数は約1万5千人で、世界に15の主要な拠点を構える。国内工場としては、家庭用空調(ルームエアコン)を担当する栃木事業所(栃木県栃木市)と業務用・産業用製品を製造する清水事業所(静岡市清水区)がある。また、ルームエアコンの工場として栃木事業所の他に海外にも拠点を構え、グローバルで製品を供給できる体制を整えている。

業務用と家庭用のエアコンそれぞれで国内シェア20%を目指す

日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田金太郎氏 日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田金太郎氏

 空調市場は世界で約1億7500万台(2023年)の需要がある。コロナ禍においても着実に伸長しており、2021〜2027年の7年間で2.5%の年平均成長が見込まれ、その後も確実に拡大すると予想される。泉田氏は「この背景には、空調へのニーズの拡大がある。エアコンへのニーズは、これまでは基本的に温度に対するものがほとんどだったが、コロナ禍に入り空気質(IAQ:インドアエアクオリティー)への意識と関心の大きな高まりがみられている」と語る。

 加えて、これまで普及率の低かったアフリカや東南アジアなどの地域/国への浸透も進んでいる。さらに夏だけでなく、冬場での使用など稼働時間の長期化とそれに伴う置き換え回数の増加なども需要拡大要因として挙げられる。他にも、日本、北米、欧州といった成熟市場でもヒートポンプ需要の高まりなどが期待される。

 需要が拡大する一方で、空調事業に参入するには室外機、室内機だけでなくコンプレッサー、熱交換器などの部品を生産するために膨大な設備投資が必要なことから、成長産業でありながら参入障壁は高い。空調機器メーカーとして長い歴史と実績、技術を持つ日立ジョンソンコントロールズ空調にとって競争力を生かすことができ、将来的にも有望な事業といえる。

 こうした中で同社は新たな成長戦略を定めた。その1つとして泉田氏が挙げるのが「国内での確固たるマーケットシェアの確保」だ。同氏は「業務用のPAC(パッケージエアコン)、家庭用のRAC(ルームエアコン)、それぞれで日本市場においてシェア20%を目指したい」と目標を掲げる。そして、この目標達成を目指して、同社が打ち出したのがコスト競争力を高めるための地産地消というテーマだ。泉田氏は「品質で勝負するためにも、国内回帰を図ることが成長戦略の大きなポイントとなる」と強調する。

 エアコンは社会インフラの一つに位置付けられる。例えば、猛暑の時期に生産国の事情で供給がストップされると、人々の生活に大きな影響を与えることになる。エアコンを安定して供給できる体制を取ることこそがメーカーとしての責任の一つであり、安定供給と迅速にニーズに応えることができるようリードタイムの短縮にも取り組む。さらに、栃木事業所での生産台数を拡大することで、雇用の増加を図るなど地域経済への貢献も地産地消を進める意味の一つに挙げる。

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