世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」において、特別セミナー「FOOMA自動化検討プロジェクト 省人化ハンドリングシステムの未来」が行われた。セミナーの模様をダイジェストで紹介する。
東京ビッグサイトで2025年6月10〜13日に開催された世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」において、特別セミナー「FOOMA自動化検討プロジェクト 省人化ハンドリングシステムの未来」が行われ、チトセロボティクス 副社長で立命館大学 グローバル・イノベーション研究機構 特別招聘研究教授を務める川村貞夫氏らが登壇した。
同セミナーでは、近い将来に食品製造ラインの自動化に役立ちそうな技術をテーマに、川村氏が「専用機とロボットの今後についての考察」を発表した他、立命館大学 理工学部ロボティクス学科ソフトロボティクス研究室 教授の平井慎一氏が「ハンドリングデバイスの未来」、ケイズベルテック 代表取締役の里薗勝成氏が「食品の自動ハンドリングの留意点」について発表した。セミナーの模様をダイジェストで紹介する。
まず、川村氏は「専用機とロボットの今後についての考察」において、「専用機の多機能化」「ロボットの高速化」「ロボットの多機能化」という今後予想される3つの技術革新の動向に言及した。
専用機は特定の作業の自動化に用いられるが、汎用性に乏しい。一方、ロボットは汎用性に長けるが、全ての作業をロボットに置き換えられるわけではない。
川村氏は「さまざまな技術開発が進んでいるが、1つ目のポイントは専用機の機能をどのように増やしていくかだ。2つ目は、ロボットを高速化させて、どれだけ専用機と戦えるようにするか。3つ目は、ロボットを高機能化させて、より人間のような作業ができるようにするかだ」と説明した。
1つ目の「専用機の多機能化」については、「センサーやアクチュエーターをつけ足すことで機能を増やせるはずだ。近年はMEMSセンサーが安価になり、使いやすくなってきた。これらを既存の製品に取り付けて、新たな機械として売り出すことが重要ではないか。だが、コストの問題もあるため、“最小実現”を設計思想に不要な要素は増やさないという考え方が大事になる」と川村氏は提案した。
しかし、食品は不定形で柔らかく、機械によるハンドリングが難しい。川村氏は「食品は柔軟性と摩擦という非常に複雑な特性を持っており、機械工学の中でも一番厄介な問題を抱えている。そのため、サイバー空間の設計だけで実装するのは難しいのが課題だ」とも指摘。「今後はいかにAI(人工知能)を使いこなすかが重要になる。AIによって柔軟性と摩擦の問題はある程度克服できるようになりつつある」と展望を語った。
2つ目の「ロボットの高速化」については、川村氏は「パラレルリンクロボットやスカラロボットは、高速ロボットアームをうまく利用すれば、専用機に対抗できるはずだ」と今後の可能性を述べた。
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