もう「カエリ取り」は人の仕事じゃない? ティーチレスのロボットシステム稼働工作機械(1/2 ページ)

スギノマシンは新開発の「カエリ取りロボットシステム」を、納入先の板金工場において報道陣に公開した。ロボットや3Dビジョンカメラ、シミュレーションソフトを活用して均一なカエリ取りを実現する。

» 2025年11月14日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 スギノマシンは2025年11月6日、新開発の「カエリ取りロボットシステム」を、納入先のマキノの町田工場(東京都町田市)において報道陣に公開した。ロボットや3Dビジョンカメラ、シミュレーションソフトを活用して均一なカエリ取りを実現する。

3Dビジョンカメラなど活用でティーチレス実現

 カエリとは、プレスで板金に穴を開けた際などに、切断面に生じる不要な突起(バリ)を指す。溶接板金業界では、ブランク(抜き)やベンディング(曲げ)の自動化が進んでいるのに対して、カエリ(バリ)取りの自動化が遅れており、人手不足が深刻化する中で課題となっていた。ロボットを活用するにしても、複雑なティーチング作業を習得する必要がある。

 今回のカエリ取りロボットシステムは、スギノマシンの産業用ロボット「CRb(壁掛けタイプ)」と同社のロボットシミュレーションソフト「CROROROS」、稼働管理モジュール「ViiNUS」の他、3Dビジョンカメラやワーク固定用の吸着パッドで構成されている。

マキノの工場で披露した「カエリ取りロボットシステム」のデモンストレーション[クリックで再生]

 事前にCROROROSでカエリ取りするワークの箇所を指定してプログラムを作成し、ロボットシステムへ送信する。現場では、作業指示書にあるワークのバーコードを読み込むと、ワークの置き方がロボットシステムの操作盤のモニターに表示される。指示通りにワークを定盤に置き、真空の吸着パッドで固定してシステムを起動させると、上部の3Dビジョンカメラがワークを撮像する。そして、得られた点群データを画像処理し、ワークの種別や表裏判別、位置補正を行い、研磨用のベルトサンダーをハンド部分に装着したロボットがカエリ(バリ)取りをスタートさせる。これによって、おおよその位置にワークを置くだけで登録済みの動作を行うことができ、ティーチレスを実現する。

 長尺ワークの場合は、3Dビジョンカメラが移動し、2カ所で撮像して点群データを合成して位置補正などを行う。ロボットは、要求品質に応じて5種類まで自動でツールチェンジできる。

 ロボットの作業エリアに人が侵入した場合は、上部のエリアセンサーが感知してシステムを停止させる。エリアセンサーはロボットシステムの中央部も見ており、作業台の右端(画像内の1)でロボットが作業中に、左端(画像内の3)で作業者が段取りなどの作業をすることも可能だ。

5種類までハンドを交換できる部には3Dカメラビジョンと2つのエリアセンサーがある 5種類までハンドを自動交換できる(左)/上部には3Dカメラビジョンと2つのエリアセンサーがある(右)[クリックで拡大]
[1]でロボットが作業中に、[3]で人が段取り作業することも可能だ [1]でロボットが作業中に、[3]で人が段取り作業することも可能だ[クリックで拡大]
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