SEMIジャパンは記者会見を開き、「SEMICON Japan 2025」の概要などを発表。本稿では、SEMIのSEMI市場情報担当チームのシニアディレクターであるClark Tseng氏が発表した半導体製造装置市場の見通しについて説明する。
SEMIジャパンは2025年12月16日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、同年12月17〜19日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2025」の概要などを発表した。
本稿では、SEMIのSEMI市場情報担当チーム(Market Intelligent Team)のシニアディレクターであるClark Tseng(クラーク・ツェン)氏が会見で紹介した半導体製造装置市場の見通しについて説明する。
ツェン氏はまず、AI(人工知能)がいかに半導体製造装置業界の成長を押し上げているかを説明。Googleの生成AIモデルであるGeminiが処理する1カ月当たりのトークン量は、2024年4月で9.7兆だったのに対して、1年後の2025年4月には約50倍の480兆に達した。さらに同年10月にはその2倍となる約1000兆まで増えている。ツェン氏は、これらの伸びに対して大手IT企業は設備投資を強めており、半導体市場の拡大につながっているとした。
2025年は、世界の半導体売上高に占めるAI関連の割合は35%だが、2030年にはAI関連が50%にまで高まると見られている。2030年まで、半導体全体の売上高の伸び率は8%だが、AI関連に限ればより高い16%の伸び率となる。また、2029年には、従来の予想を1年前倒して、全体の売上高が10兆ドルを超える見込みだ。
半導体売上高の成長に伴って、半導体製造装置の出荷額も増えており、2025年(10月まで)は前年同期比15.7%増の1080億ドルとなった。地域別に見ると、台湾が同108%、韓国が25%、さらに日本も27%増と高い成長を見せている。中国は4%減となったが、ツェン氏は「われわれの従来の予想と比べてよい状態になっている。中国における投資の底堅さ、強靭さを反映している」と見る。欧州と北米は大きく減少しており、「車載関係や産業関係の需要回復が遅れており、いくつかのプロジェクトが延期となったことが影響した」(以下、コメントはツェン氏)。
これらの結果、2025年の半導体製造装置市場の見通しは前年比14%増の1330億ドルとなっている。その後も成長は続いて、2026年には1450億ドル、2027年には1560億ドルに達する見込みだ。
セグメント別に見ると、前工程に対応するウエハープロセス処理装置、ファブ設備装置、マスク/レチクル製造装置を含むウエハーファブ装置(WFE)セグメントの2025年の市場規模は、前年比11%増の1157億ドルとなる見込みだ。DRAMおよびHBM(高帯域メモリ)への投資が予想以上に活発化しているという。中国における継続的な生産能力拡大も貢献している。2026年には1260億ドル、2027年には1350億ドルになると見込まれる。
後工程装置の市場も拡大している。試験装置セグメントの2025年の市場規模は、前年比48%増という高い成長となる見込みだ。2026年には125億ドル、2027年には134億ドルまで伸びると予想される。アセンブリー&パッケージング装置セグメントの2025年の市場規模は、前年比20%増の成長を見せており、2026年には66億ドル、2027年には70億ドルになると見込まれる。
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