スギノマシンは溶接板金業界向けに段取りレスの「溶接ロボットシステム」「カエリ取りシステム」を開発した。
スギノマシンは2024年7月4日、溶接板金業界向けに段取りレスの「溶接ロボットシステム」「カエリ取りシステム」を開発したことを発表した。同月から受注を開始し、2025年度までに40台の販売を目指している。
溶接板金業界ではブランク加工や曲げ加工の自動化が進んでいるのに対して、溶接工程においては自動化が遅れている。そもそも多品種少量生産で、工程が多く形状も複雑な他、材質や形状に合わせた条件出しの難しさなどから自動化が困難だった。
そこでスギノマシンでは、独自のロボット制御とセンシング技術を組み合わせてティーチングレスとワークのバラつきに対応するシステムとして「溶接ロボットシステム」(TIG/ファイバーレーザー)を開発した。
溶接ロボットシステムでは、ロボットシミュレーションソフト「CROROROS」で動作検証し、作成したプログラムを送るだけで溶接動作が可能となる。
スキャナーシステムでワークのエッジを検出し、そのバラつきに合わせた動作経路を自動生成することでティーチングレスを実現する。リンクウィズと共同開発したこのシステムによりティーチング時間を大幅に短縮するだけでなく、溶接経路精度が向上する。
ロボットは設置面積やワークサイズによって、壁掛けタイプの「CRb」と協働ロボットの「CRX」の2種類から選択できる。CRbは可動域が広く長手方向のカスタマイズが可能、どちらもTIG溶接仕様、ファイバーレーザ溶接仕様に対応し、稼働状況のモニタリング機能を標準装備している。
「カエリ取りシステム」は薄板鋼板のカエリ(プレスで金属に穴を開けた際に、せん断加工の切断した面に表れる突起)やドロス(レーザ外形加工で生成される、ワークの加工部裏面に付着する溶解金属)などのバリ取りに特化したロボットシステムだ。
溶接板金業界で使用されているバリ取り機は、鋼板全体に研磨をかけるものが一般的だが、食品業界向けなどに「できるだけキズをつけたくない」というニーズがあり、既に確立していたエッジの倣い動作をさせるバリ取りシステムを鋼板用に特化させた。
カエリ取りシステムも、ロボットシミュレーションソフト「CROROROS」で作成したプログラムを送るだけで、狙ったエッジのカエリ除去が可能となる。処理したいエッジを指定し、ツールのオフセットや角度などを設定できます。
3Dビジョンカメラでワークの種別や表裏判別をしているため、おおよその位置に置かれたワークの位置ずれを自動補正し、ティーチングレスを実現する。ロボットは壁掛けタイプのCRbを採用しているため加工範囲を広くとることができ、ワークの複数個取りに対応。さらに自社製バリ取りツール「BARRIQUAN」を活用することで均一にカエリ取りが行える。
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