バリ取りを制す者がモノづくりを制す、新たな研究開発拠点で目指すバリの数値化FAニュース(1/2 ページ)

スギノマシンは2023年7月20日、バリ取りに関する研究開発を行う「デバラボ」を開所した。

» 2023年08月09日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 スギノマシンは2023年7月20日、掛川事業所(静岡県掛川市)内に開所したバリ取りに関する研究開発を行う「デバラボ」(バリ取り研究所 Deburring Labo at SUGINO)を公開した。ウォータジェットやフローティング加工などの高度なバリ取り技術、商品の開発やテストを行う「世界で唯一の施設」(同社)としている。

掛川事業所に開所した「デバラボ」のテスト加工エリア[クリックで拡大]

バリ取りに関する設備や人材を集約して研究開発を加速

 部品の加工時にできるバリ(Burr)はほぼ全ての素材で発生する。このバリを除去するバリ取りを高品質に行わなければ、その後の製品の精度や安定性に大きく影響する。従来は人手が中心だったバリ取りも、近年は人手不足や生産性向上、作業中のけがなどの防止のため、自動化のニーズが高まっている。

 1936年創業のスギノマシンでも、数MPa〜数百MPaの高圧水を用いたウォータジェットや、フローティング機構を備えたアタッチメントに付けた工具によるフローティング加工などによるバリ取りを提供してきた。

スギノマシンの杉野良暁氏[クリックで拡大]

 スギノマシン 代表取締役社長の杉野良暁氏は「バリ取りは古くて新しいテーマであり、モノづくりにとっては永遠のテーマだ。かつて『バリ取りを制するものはモノづくりを制する』とまで言った方もいるほど非常に重要な工程だ」と語る。

 今回、スギノマシンでは工作機械などを生産する富山県にあった関連設備や人材を、工具を生産している掛川事業に集めることで研究開発を加速させる。

 杉野氏は「それぞれの部門がバリ取りを別々に研究していたが、全てのバリ取りのノウハウをこのデバラボに集約した。掛川事業所は東京や名古屋、大阪といったモノづくりが集積しているエリアから利便性も高い。われわれの持つ技術を総合させ、バリ取りをさまざまな角度から深掘りし、新しいソリューションを提案していきたい」と話す。

 デバラボは、壁面ホワイトボードや大型モニター、3次元測定器を備え、打ち合わせや軽作業ができる「Hubエリア」と、バリ取り部品洗浄機「JCC 104 HYBRID」やフローティング加工を行う「BARRIQUAN」をハンドに装着した2台のロボットバリ取り装置、小型マシニングセンタ「SC-V40a」をそろえテスト加工や研究を行う「Laboエリア」に分かれている。

打ち合わせや軽作業ができる「Hubエリア」[クリックで拡大]
デバラボに置かれたバリのサンプル[クリックで拡大]
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