経済産業省 中小企業庁は、受注側中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状についての評価を公開した。その結果、美和ロック、一建設、タマホームの3社が「価格交渉」について最低評価となった。
経済産業省 中小企業庁(以下、中小企業庁)は2025年1月21日、受注側中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状について2024年9月の調査結果を公開した。その結果、美和ロック、一建設、タマホームの3社が「価格交渉」において最低評価となった。
中小企業庁では、中小企業が適切に価格交渉や価格転嫁を行える環境整備のために毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と設定している。その成果を確認するために、価格交渉と価格転嫁の対応状況について、これらの対象月に中小企業からアンケート調査を行う他、下請けGメンによるヒアリング調査を実施している。
2025年1月21日に公開されたのは、2024年9月の価格交渉促進月間に実施されたフォローアップ調査の結果だ。10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業211社について「回答企業数」(中小企業から主要な取引先企業だと指定された数)、受注側中小企業からの「価格交渉に対する回答状況」「価格転嫁に対する回答状況」についてリスト化した。
「価格交渉」と「価格転換」の回答状況については、受注側中小企業が発注側の対応について評価して点数化している。「価格交渉」についての点数はまず「交渉が行われたかどうか」がポイントとなる。「行われた」場合、発注企業から「申し入れがあった」場合は10点、「申し入れがなかった」場合は8点とする。
一方、「価格交渉が行われなかった」場合は、中小企業側から申し入れがあったが、「コストが上昇せず、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースと「コストが上昇したが、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースは10点としている。ただ、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、申し入れを辞退した」というケースは、中小企業が自主的に交渉を取り下げた場合でも減点され5点と設定されている。
さらに「申し入れがなかった」事案では「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」ケースは―5点、「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」ケースは―10点と厳しい評価となっており「価格交渉を言い出せない空気感」そのものを問題視しているといえる。
「価格転嫁」については、そのまま「1割転嫁」で1点、「2割転嫁」で2点と設定され、費用が上昇している中で減額された場合は−3点という基準が設定されている。
調査では、この2つの点数の平均値を以下のような形で分類し、対象企業をリスト化している。
その結果、「価格交渉」において最低となる「エ」の評価を受けた企業は、美和ロック、一建設、タマホームの3社となった。タマホームは2024年3月調査に引き続きの最低評価となっており、改善が進んでいないことが伺える。価格交渉における「エ」は、回答の平均点数が0点未満であるため、取引をしている中小企業がこの3社に対し、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」か「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」と感じているということを示している。
美和ロックとタマホームについては「価格転嫁」の評価が「ウ」となっており、価格据え置きか、3割までの価格転嫁には応じていることになる。一建設の価格転嫁についての評価は「イ」となっており、価格転嫁については応じているが価格交渉の申し出のしやすさでマイナス評価となった形だ。
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