まだ背もたれが付いていないので最後に背もたれを付けてみます。ここはこらないで、素直に押し出しで作ってみます。ただし、背中が当たる部分を少しくぼませてみたいと思います。スケッチをして、その中で押し出したい部分のみを選択すれば簡単に背もたれが出来上がりました。最後に、これにフィレットを付けてでき上がりです。この程度の形状であれば、特に悩むこともなく簡単にでき上がります。
ところで、最後に気になることをもう一つ検証しましょう。それはファイルの出力です。このCADのネイティブファイルは、拡張子が「123D」(または「123C」)という思いっきりローカルなもの。普通に考えれば出口がないので、結局お絵描きで終わってしまいます……。が、ここも大盤振る舞いな感じです。まず、DWGやSTEPが扱えます。ということで、ほかのCADにデータを渡すことができるわけですね。「なぜ、IGESはないのか?」という話もありますが、STEPが出せるならまずOK。さらに、STLも出力できます。これでRPにもデータを送ることができますね。
インポートはどうでしょうか。出力をする場合と形式が若干違いますが、一つ目を引いたのが、OBJ形式のファイルを受け取れること。つまり、CGからデータをもらうことができるのですね。これも一つうれしいポイント。これでCGの方が作りやすい形状だけを受け取って、その後でCADの残りの部分のモデリングができますから。
ということで、今回は「タダな3次元CAD」を見てきました。ここまで大盤振る舞いをしているのを見ると、元ベンダーサイドにいた人間としては、隔世の感があります。もちろん、業界人とか、実際に設計業務でCADを使っている人は、実際に使ってみればいろいろ意見が出てくるとは思います。
しかし、3次元CADで3次元形状を作るということを考えれば、ここのところの値下がりはユーザーにとっては大きなメリットといえそうです。そして、世の中は、「FREE」「SHARE」「MESH」と呼ばれる時代。これ以上3次元を普及させようと思えば、まあ、“タダ”はともかくとして、3次元CADだけが高止まりをして、一般の人とは縁がない代物ということではいけないのではないでしょうか。この動きが今後どうなるのかは、よく見えませんがユーザーの立場からすればもっと加速して欲しいな、と思います。
もちろん、CADは一般的向けの(つまりBtoC)製品ではないので、安くしたところで買う人の数が増えるわけではなく、ベンダー側にメリットはないのではないのかという声も承知しています。それは事実、その通りでしょう。もともと3次元CADの市場は世の中のさまざまな市場から比較すれば小さいもの。
しかし、モノづくりに関わるあらゆるものが変化する中で、「3次元CADだけがそんなに高くなくても……」という思いもあります。そうでないと、いつまでも趣味で3次元のモデリングをしてRPで出してみたい! なんて人には、3次元CGの方を進めることになります。だからこそ、個人的には123Dのようなソフトには期待感がわくのです。
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