車載デバイスの進化は日進月歩オートモーティブワールド2016 車載デバイスレポート(1/5 ページ)

自動車の次世代技術の専門展示会である「オートモーティブワールド2016」の半導体・電子部品メーカーを中心に、記者が気になった展示をレポートする。自動車の開発サイクルは3〜5年といわれるが、車載半導体や車載電子部品はそれよりも早いスピードで進化を続けている。

» 2016年01月27日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 2016年1月13〜15日、東京ビッグサイトの西ホールで「オートモーティブワールド2016」が開催された。「国際カーエレクトロニクス技術展」「EV・HEV駆動システム技術展」「コネクテッド・カーEXPO」「クルマの軽量化技術展」「自動車部品加工EXPO」の5展示会から構成される自動車の次世代技術の専門展示会だ。次回の2017年は、東ホールに場所を変え、自動車製造のオートメーション関連の展示会「自動車スマート工場EXPO」が加わる予定だ。

 例年、オートモーティブワールドでは、国際カーエレクトロニクス技術展を中心に車載半導体や車載電子部品を扱う車載デバイスメーカーが多数出展する。今回は、Freescale Semiconductor(フリースケール)と企業統合したばかりのNXPセミコンダクターズを除き、ルネサス エレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、インフィニオン テクノロジーズ ジャパンといった大手車載半導体メーカーがそろい、電子部品メーカーも村田製作所、TDK、ミツミ電機などが名を連ねた。

 本稿では車載デバイス関連で記者が興味深いと感じた展示を紹介する。なお、オートモーティブワールド2016については、個別の展示を紹介した記事を既に多数公開しているので、そちらも参照していただきたい。

『オートモーティブワールド2016』の展示紹介記事:
「自動運転のための自動運転は無意味」、国内5社の車両開発責任者が激論
印刷会社が車載セキュリティ!? DNPが参入を宣言
気圧センサーもクルマのセンシングの主役の1つに、村田製作所の3次元デッドレコニング
LEDヘッドランプの高度な制御技術の開発を支援、オン・セミコンダクター
ADAS開発を設計解析ツールで支援、サイバネットが提案活動を強化
HTML5でテレマティクスサービス構築を容易に、エイチアイが対応ソフトを開発
炭素繊維強化熱可塑性樹脂のボディは重さ47kg、走行可能な試作車も開発
ルネサスからマイコンが届く前に、モデルベースでソフトウェア開発を
ターボラグを抑制する電動スーパーチャージャー、マグナが開発中
48Vハイブリッドシステムにフォーカス
2020年仕様の車載アナログ半導体を公開
NVIDIAの「TK1」上でADASのIPを動作、QNXは自動運転システム対応も視野に
固体電解コンデンサも“ハイブリッド”、ルビコンが従来比4分の1の小型化を実現
エンジン音を制御できるソフトウェア、メンターがコックピットでデモ
Apple「CarPlay」の製品化、韓国の半導体メーカーが強力に支援
AUTOSARの初期評価からECUの顧客提案まで可能、イータスのスターターキット
パワーモジュール、標準パッケージ製品を拡充
フロントガラス全面がHUDに、発光膜を挟むだけ
車載用小型VGAカメラ、体積は従来比約1/4
ST、2016年後半に統合型V2X用SoC投入へ
NVIDIAの「TK1」上でADASのIPを動作、QNXは自動運転システム対応も視野に
3Dプリンタ製の樹脂金型が自動車製造を革新!? ハイテン材のプレス加工も
気圧センサーでクルマの高度も高精度に検知
横河M&Iの高速データーロガーに新モジュール、最大32チャネルの計測が可能に
車載電源ICのパッケージで新提案、新日本無線の「PMAP」
ザイリンクスの16nm世代プログラマブルSoC、消費電力5W以下を実現
ハイブリッド車の降圧用DC-DCコンバータの体積を半減、新電元が2016年2月に量産
ルネサス、2020年に車載半導体シェア首位奪回へ
流れるウインカーを容易に実現、LEDドライバIC
遠赤外線カメラのコストを半減する光学レンズ、住友電工が開発
クアルコムの電気自動車向けワイヤレス給電技術、DD方式コイルで差異化
鈴鹿サーキットの新EVアトラクション、磁石レスのSRモーターで走行

商社が電気自動車を試作、超小型モビリティでナンバー取得目指す

豊通エレクトロニクスが展示していた三輪の試作電気自動車 豊通エレクトロニクスが展示していた三輪の試作電気自動車(クリックで拡大)

 いきなり趣旨から外れるようだが、車載デバイスメーカーではなく、車載デバイスの商社の展示を紹介しよう。豊田通商グループの豊通エレクトロニクスが展示していた三輪の試作電気自動車だ。

 前2輪/後1輪のリバーストライクをベースに改造したもので、最大出力11.7kWの誘導モーターと容量10kWhのリチウムイオン電池パックにより、約120km走行できる。

 商社が電気自動車を試作する場合、その商社が販売している製品のアピールが最大の目的になることが多い。この三輪の試作電気自動車の展示でも、小型電気自動車の開発に最適なモーターとモーターコントローラーを搭載していることをアピールしていた。

 しかし豊通エレクトロニクスの説明員によれば「電気自動車の試作を通して、クルマというアプリケーションの開発プロセスを学べれば、今後の提案活動に生かせると考えている。ただ試作するだけではなく、公道走行のためのナンバー取得もやっている」という。

 現在は、トライクやオート三輪などと同じ側車付き軽二輪のナンバーを取得しているが、今後は国土交通省が推進している「超小型モビリティ」としてのナンバー取得を視野に入れているとか。ここまでの取り組みとなると、商社ではかなり珍しい。

 実はこの試作電気自動車は2代目。1代目は、ATV(四輪バギー)をベースに2010年に開発している。「このときは1人乗りだったが、やはり2人乗りにチャレンジしたかった」(同説明員)という。

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