自動車の次世代技術の専門展示会である「オートモーティブワールド2016」の半導体・電子部品メーカーを中心に、記者が気になった展示をレポートする。自動車の開発サイクルは3〜5年といわれるが、車載半導体や車載電子部品はそれよりも早いスピードで進化を続けている。
2016年1月13〜15日、東京ビッグサイトの西ホールで「オートモーティブワールド2016」が開催された。「国際カーエレクトロニクス技術展」「EV・HEV駆動システム技術展」「コネクテッド・カーEXPO」「クルマの軽量化技術展」「自動車部品加工EXPO」の5展示会から構成される自動車の次世代技術の専門展示会だ。次回の2017年は、東ホールに場所を変え、自動車製造のオートメーション関連の展示会「自動車スマート工場EXPO」が加わる予定だ。
例年、オートモーティブワールドでは、国際カーエレクトロニクス技術展を中心に車載半導体や車載電子部品を扱う車載デバイスメーカーが多数出展する。今回は、Freescale Semiconductor(フリースケール)と企業統合したばかりのNXPセミコンダクターズを除き、ルネサス エレクトロニクス、STマイクロエレクトロニクス、インフィニオン テクノロジーズ ジャパンといった大手車載半導体メーカーがそろい、電子部品メーカーも村田製作所、TDK、ミツミ電機などが名を連ねた。
本稿では車載デバイス関連で記者が興味深いと感じた展示を紹介する。なお、オートモーティブワールド2016については、個別の展示を紹介した記事を既に多数公開しているので、そちらも参照していただきたい。
いきなり趣旨から外れるようだが、車載デバイスメーカーではなく、車載デバイスの商社の展示を紹介しよう。豊田通商グループの豊通エレクトロニクスが展示していた三輪の試作電気自動車だ。
前2輪/後1輪のリバーストライクをベースに改造したもので、最大出力11.7kWの誘導モーターと容量10kWhのリチウムイオン電池パックにより、約120km走行できる。
商社が電気自動車を試作する場合、その商社が販売している製品のアピールが最大の目的になることが多い。この三輪の試作電気自動車の展示でも、小型電気自動車の開発に最適なモーターとモーターコントローラーを搭載していることをアピールしていた。
しかし豊通エレクトロニクスの説明員によれば「電気自動車の試作を通して、クルマというアプリケーションの開発プロセスを学べれば、今後の提案活動に生かせると考えている。ただ試作するだけではなく、公道走行のためのナンバー取得もやっている」という。
現在は、トライクやオート三輪などと同じ側車付き軽二輪のナンバーを取得しているが、今後は国土交通省が推進している「超小型モビリティ」としてのナンバー取得を視野に入れているとか。ここまでの取り組みとなると、商社ではかなり珍しい。
実はこの試作電気自動車は2代目。1代目は、ATV(四輪バギー)をベースに2010年に開発している。「このときは1人乗りだったが、やはり2人乗りにチャレンジしたかった」(同説明員)という。
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