北海道から大阪へ、鉄道から自動運転トラックにコンテナを載せ替えて輸送物流のスマート化(1/2 ページ)

日本通運とJR貨物、T2の3社は自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせたモーダルコンビネーションの実証を開始した。第一弾として、雪印メグミルクの常温品を北海道から関西まで輸送する。

» 2025年06月24日 08時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日本通運とJR貨物、T2の3社は2025年6月23日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせたモーダルコンビネーションの実証を開始したと発表した。第一弾として、雪印メグミルクの常温品を北海道から関西まで輸送する。本来は北海道から大阪まで鉄道のみで輸送できるが、東京/大阪間の鉄道でのトラブル発生時などに自動運転トラックで代行輸送を行うことを想定し、モーダルコンビネーションのルートを設定した。

 JR貨物は2024年1月にT2に出資している。自動運転トラックと貨物鉄道の協業により、幹線輸送力の拡充、サービスメニューの拡大、災害発生時の相互補完機能強化につなげたい考えだ。

鉄道からトラックへの積み替え作業が完了したときの様子[クリックで拡大]

北海道から大阪までの道のり

 第一弾の実証期間は2025年6月20〜24日。報道向けにコンテナ載せ替えの様子を公開するため、通常の鉄道輸送よりも所要時間が長くかかっている(本来は集荷日の翌々日には到着する)。

 実証のスケジュールは次の通り。6月20日に札幌近郊の雪印メグミルクの物流拠点で日本通運が集荷し、21日朝に札幌貨物ターミナル駅(札幌市白石区)を出発する。コンテナは22日朝に東京都内の隅田川駅(荒川区南千住)に到着し、T2の自動運転トラックに載せ替えた上で23日夕方から百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)に向かう。24日早朝には百済貨物ターミナル駅に到着し、大阪市内には同日午前中に配達される。

北海道から大阪までの輸送の流れ[クリックで拡大] 出所:T2

 実証では、隅田川駅での貨物列車から自動運転トラックへの積み替え作業の他、北海道から大阪までの一貫オペレーション、自動運転トラックの輸送区間を中心とした輸送品質を検証する。隅田川駅から百済貨物ターミナル駅まではT2のドライバーが乗務し、一部区間をレベル2の自動運転で走行する。日本通運が請け負っていた輸送のうち、札幌貨物ターミナル駅から百済貨物ターミナル駅までをJR貨物が受託した格好だ。

 この実証において、荷主が北海道の雪印メグミルクとなり、東京/大阪間で自動運転トラックを走らせることが決定したため、北日本からの貨物列車が集まる隅田川駅が鉄道から自動運転トラックへの積み替え場所になった。隅田川駅では日常的に貨物列車からトラックへの積み替え作業が行われているが、積み替え対象が自動運転トラックであること、新たに開発した31フィートタイプ(10トントラックとほぼ同等の内容積)のコンテナ積み替えを行うことは今回の実証が初めてだ。

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