日産が次世代プロパイロットにAIベースの自動運転技術を採用、2027年度に国内投入：自動運転技術

日産自動車と英国のAIスタートアップであるWayveは、WayveのAI（人工知能）技術の採用により次世代に進化させた日産の運転支援システム「プロパイロット」（次世代プロパイロット）を幅広い車種に搭載するための協業契約を締結した。次世代プロパイロットを搭載した最初のモデルは、2027年度内に日本国内で発売する予定だ。

[坪田澪樹，MONOist]

　日産自動車（以下、日産）と英国のAI（人工知能）スタートアップであるWayveは2025年12月10日、東京都内で記者会見を開き、WayveのAI（人工知能）技術の採用により次世代に進化させた日産の運転支援システム「プロパイロット」（以下、次世代プロパイロット）を幅広い車種に搭載するための協業契約を締結したと発表した。次世代プロパイロットを搭載した最初のモデルは、2027年度内に日本国内で発売する予定だ。

日産のイヴァン・エスピノーサ氏（左）とWayveのアレックス・ケンダル氏（右）

　今回両社は、Wayveの最先端エンボディードAI技術を自動運転に適用したソフトウェア「Wayve AI Driver」を次世代プロパイロットに採用することで合意し、協業契約を締結した。これにより、WayveのエンボディードAIソフトウェアと日産の先進技術を融合させ、ADAS（先進運転支援システム）とポイントツーポイントの高度な自動運転の両立が可能になる。日産は自動車メーカーとして初めて、幅広いセグメントの車種にWayveのAIシステムを導入する。

　日産 代表執行役社長兼CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は「われわれは『人を中心とした技術開発』という理念の下、自動運転技術で人々の生活を豊かにすることを目指している。Wayveと共にAIを活用したモビリティの新たな可能性を開き、インテリジェントな未来を実現していく」と語る。

　日産は2016年に高速道路の単一車線でドライバーの運転を支援するシステム「プロパイロット」を初めて市販車に搭載した。2019年には、高速道路の複数車線の運転支援と同一車線内でハンドルから手を放して走行できるハンズオフ走行を可能とする「プロパイロット 2.0」を実用化した。これらの運転支援システムは現在、日産の幅広い車種に搭載されている。

　2025年9月に日産は、Wayve AI Driverと日産の次世代LiDAR（Light Detection and Ranging、ライダー）を組み合わせた「Ground Truth Perception」技術を搭載する次世代プロパイロットの開発試作車を公開した。東京の銀座で実施した走行デモンストレーションでは、都心の複雑な道路環境でもスムーズで安全な運転支援が可能なことを確認したという。Wayve 共同創設者兼CEOのアレックス・ケンダル氏は「経験豊富なドライバーのように冷静／慎重に判断しながら東京の街中を走行する様子は非常に感動的だった」と述べる。

　安全性を核に設計したWayveのエンドツーエンドのエンボディードAIは、導入に必要な追加開発を最小限に抑えながら、新たな車両プラットフォームや都市に効率的に対応できる。さらに、同社のAIは、プロパイロットで使用するカメラやレーダー、LiDARなど多様な機器との組み合わせが容易であるため幅広い車種に導入しやすい。

　量産車へ次世代プロパイロットを搭載することで、両社は実世界の多様な走行条件を基にした次世代プロパイロットの継続的な改善を進めると共に、運転支援技術の競争力を長期的に強化していく。

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