NTNが軸受トルク計算の精度を50%改善させる新たな手法を開発電動化

NTNは、オイル潤滑下の玉軸受が高速回転する際におけるトルク計算精度を、これまでと比較して最大で50%改善させた新たな計算手法を開発した。低トルク化技術のさらなる進展に貢献する。

» 2025年12月17日 16時00分 公開
[MONOist]

 NTNは2025年12月4日、オイル潤滑下の玉軸受が高速回転する際におけるトルク計算精度を、これまでと比較して最大で50%改善させた新たな計算手法を開発したと発表した。低トルク化技術のさらなる進展に貢献する。

 今回開発したトルク計算手法は、軸受のボールが通る軌道面に注目し、ボールと軌道面の接触域と非接触域を別々に計算するもの。これまでの計算対象は接触域だけであったが、新たに非接触域も対象に加えたことで、トルク発生の要因をより詳細に計算可能となり、それぞれの要因がトルク増加につながる仕組みを解明することに成功した。

 この手法により高速回転下におけるトルク計算の精度を従来と比較して最大50%向上させた。同社は、同手法をさまざまな条件下で活用できる計算式を作成し、社内の計算プログラムへの実装を終えている。

キャプション ボールと軌道面の接触域と非接触域[クリックで拡大] 出所:NTN
キャプション トルク計算精度の比較[クリックで拡大] 出所:NTN

 同手法によってトルク増加に影響を与える要因が判明した。その結果、これまで軸受の内部設計面でトルク減少に効果があるといわれていた手法の適切さの説明や、さまざまな使用環境において、どんな低トルク化の内部設計が有効であるかを短い時間で究明することも可能となる。

 将来的には、軸受の低トルク化技術の進展に貢献する。さらに、高速回転時におけるトルク計算の精度改善により、同社内の工数削減もできるため、需要の高まりが見込まれるEV(電気自動車)用軸受の検討/提案スピードの増加が期待できる。

 近年、EVやHEV(ハイブリッド車)の省エネ化が注目されており、これらの車両のモーターや減速機に用いられる軸受の低トルク化が課題となっている。これまでよりも軸受けの高速回転性能の向上が要求されているので、高速回転下であっても、より精度の高いトルク計算手法の開発が急務であった。

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