自動運転トラックは酒類/飲料を高品質かつ安全に運べるのか、T2と大手4社が実証物流のスマート化(1/2 ページ)

T2と大手酒類/飲料メーカー4社の物流子会社であるアサヒロジ、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流、サントリーロジスティクスは、2025年6月9日から11月にかけてT2の自動運転トラックを用いた幹線輸送の実証を行うと発表した。

» 2025年06月06日 06時15分 公開
[朴尚洙MONOist]

 T2と大手酒類/飲料メーカー4社の物流子会社であるアサヒロジ、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流、サントリーロジスティクスは2025年6月5日、東京都内で会見を開き、同月9日から11月にかけてT2の自動運転トラックを用いた幹線輸送の実証を行うと発表した。関東-関西間の片道約500kmの高速道路を往復し、自動運転トラックによる酒類/飲料製品の輸送の有効性や具体的なオペレーションなどを検証する。

T2の自動運転トラックと会見の登壇者 T2の自動運転トラックと会見の登壇者。左から、アサヒロジ 代表取締役社長の児玉徹夫氏、キリングループロジスティクス 代表取締役社長の小林信弥氏、T2 代表取締役CEOの森本成城氏、サッポログループ物流 代表取締役社長の服部祐樹氏、サントリーロジスティクス 代表取締役社長の高(正しい漢字ははしご高)橋範州氏[クリックで拡大]

 今回の実証では、T2が開発したレベル2の自動運転トラック(積載重量10トン)を用いて4社の製品を幹線輸送する。2025年6月については、往路がキリンビールの横浜工場(横浜市鶴見区)から神戸工場(神戸市北区)/復路がアサヒビールの吹田工場(大阪府吹田市)から茨城工場(茨城県守谷市)と、往路がサッポロビールの千葉工場(千葉県船橋市)から大阪物流センター(大阪市西淀川区)/復路がサントリープロダクツの宇治川工場(京都府城陽市)からサントリー海老名配送センター(神奈川県海老名市)の2往復を実証ルートとする。

実証の概要 実証の概要と、6月の実証ルート、積載物の例[クリックで拡大] 出所:T2

 高速道路での自動運転走行は、東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジ(神奈川県綾瀬市)と、実証ルートにおける4社の関西の工場/物流拠点に近いインターチェンジの間で行う予定だ。6月の2往復の積載物としては、アサヒが「アサヒスーパードライ」、キリンが「キリン一番搾り生ビール」、サッポロが「サッポロ生ビール黒ラベル」、サントリーが「サントリー クラフトボス ラテ」を想定している。

 2025年6~11月の半年間で計16回/8往復の実証を行う計画だ。貨物を積載した幹線輸送における自動運転の走行ルート/走行リードタイム/物流品質の検証、想定したオペレーションパターンの有効性などを検証内容に挙げている。

レベル2自動運転トラックの走行中のイメージ レベル2自動運転トラックの走行中のイメージ。ドライバーがステアリングから手を離した状態でも安定した運転が行えている[クリックで拡大] 出所:T2

 T2 代表取締役CEOの森本成城氏は「物流業界におけるトラックドライバー不足が課題になる中、当社はレベル4の自動運転技術によって日本の物流を支えていきたいと考えている。東京-大阪間をトラックで輸送する場合、片道をドライバー1人当たり1日1運行が限界であり、往復で2日間かかるのが現状だ。これを、高速道路での無人運転が可能なレベル4自動運転トラックを使えば1日で往復できるようになる。今回の実証は、レベル2自動運転トラックを用いるのでドライバーの乗車が必要だが、目標とする2027年10月からのレベル4自動運転トラックへの移行をスムーズに進められるようにさまざまなデータを収集していきたい」と語る。

レベル4自動運転トラックであれば東京-大阪間を1日で往復できる レベル4自動運転トラックであれば東京-大阪間を1日で往復できる[クリックで拡大] 出所:T2
T2は2025年7月からレベル2自動運転トラックを用いた輸送事業を開始する T2は2025年7月からレベル2自動運転トラックを用いた輸送事業を開始する。207年10月にはレベル4自動運転に移行し、2032年には2000台規模で輸送事業を行う計画である[クリックで拡大] 出所:T2
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