コマツは、ローバー本体の質量を超える荷物を積載できる物流ローバーの走行装置と、レゴリス(月面を覆う微細な砂)を自動掘削する建機の研究開発を開始する。
コマツは2026年5月8日、ローバー本体の質量を超える荷物を積載できる物流ローバーの走行装置と、レゴリス(月面を覆う微細な砂)を自動掘削する建機の研究開発を開始すると発表した。同開発は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙探査イノベーションハブの共同研究制度「Moon to Mars Innovation」に採択されたものだ。
Moon to Mars Innovationの第13回研究提案募集では、「次世代月面ロジスティクスに資する積載能力強化型物流ローバーの研究開発(3年間)」「低重力下での挙動を模擬する試験機および自動掘削制御技術の研究開発(2年間)」「宇宙環境下で使用可能かつ掘削の負荷に耐えうる電動アクチュエータの考案(2年間)」の3件が採択されている。
次世代月面ロジスティクスに資する積載能力強化型物流ローバーの研究開発は、慶應義塾大学などと共同で、ローバー本体の質量を超える荷物を積むことができる「積載能力強化型物流ローバー」の開発とプラットフォーム化を進める。
同社は、小型/軽量の走行装置の仕様検討、設計開発、試作などを担う。走行装置には、大きな荷重への耐性、実用的な移動速度、岩などの障害物を越える性能、急斜面の登坂性能が求められる。
低重力下での挙動を模擬する試験機および自動掘削制御技術の研究開発に関しては、月面重力環境下に似た挙動を模擬する掘削試験機と自動掘削制御技術を開発し、地上でのフィールドテストを実施する。掘削試験機で従来のシミュレーションにおける検討内容を検証することに加え、フィールドテストで得られたノウハウを活用して自動掘削制御技術の開発を進める。
宇宙環境下で使用可能かつ掘削の負荷に耐えうる電動アクチュエータの考案については、ナブテスコとの共同で真空環境下でも使用できる掘削の負荷に負けない電動アクチュエータの開発を行う。
未来の月面探査や利活用では、重量物(太陽電池タワーなど)やレゴリスの輸送を担う物流ローバーの役割が大きくなる。これまでのローバーはローバー本体質量以下の積載量しか想定されていなかったが、月面で本格的な活動を行うには、さらに多くの積載が可能な物流ローバーが求められる。
また、重力が地球上の約6分の1しかない月面では建機自体も軽くなるため、地面に対して力を加えることが困難であり、掘削が不安定になる。将来、月面で建設作業や資源採掘を実施するためには、月面の小さい重力下においても自動掘削可能な掘削機械が望まれている。
加えて、月面は真空状態であるため、通常の建機に採用されている油圧システムは十分に能力が出せない。そのため、それに代わるアクチュエーターで掘削機械を動かすための検討も必要になる。
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