MONOistがライブ配信セミナー「SDVセミナー 2026冬〜ソフトウェアが定義するクルマの未来と、開発体制の変革〜」を開催。本稿ではパナソニック オートモーティブシステムズの水山正重氏による基調講演について紹介する。
MONOistはライブ配信セミナー「SDVセミナー 2026冬〜ソフトウェアが定義するクルマの未来と、開発体制の変革〜」を2026年3月11日に開催した。本稿では、同セミナーにおいて、『「ソフトウェアディファインド」の本質とキーテクノロジー〜ソフトウェアファーストによる開発革新とVirtIO標準化がもたらすエコシステム〜』と題してパナソニック オートモーティブシステムズ 代表取締役 副社長執行役員 CTO CISO(Chief Information Security Officer)知的財産担当の水山正重氏が行った基調講演の一部を紹介する。
SDV(ソフトウェアデファインドビークル)は、自動車の価値と競争の軸をハードウェアからソフトウェアへと転換するゲームチェンジャーと認識されている。講演では、その変化の本質と背景にある駆動要因を整理し、開発革新を実現する「ソフトウェアファースト」の考え方を解説。併せて、デバイス仮想化技術「VirtIO」の標準化を軸とした取り組みと、オープンなエコシステムの重要性を指摘した。
パナソニック オートモーティブシステムズは、重点成長分野としてSDVを支える高性能コンピューティング(HPC)と、クルマの中の居心地に関わるコックピット/キャビンUX(ユーザー体験)の2つの領域を設定している。同社は2026年2月、VirtIOの業界の標準化に向けた活動が自動車業界各社および関連するIT業界各社から賛同を得たことを発表。また、VirtIO準拠の量産レベルのプラットフォームを開発完了したことも明らかにしている。今後は、業界全体がVirtIOに準拠することで健全なエコシステムを育成していける環境を構築することを目指している。
自動車が目指す未来像には安全/快適/アップデートというものがある。この未来像(価値)の大半はソフトウェアにより進化/実現できるとみられる。今がSDVの時代といわれるゆえんだ。現在、アーキテクチャの変革、オープンソース/デファクト標準、コネクテッド/AI、ハイパースケーラーをはじめとする巨大IT企業などの関連で多様な変化が同時並列で進行している。こうした中、SDV化の潮流は顕在化しており、水山氏は「ソフトウェアを高速に進化させる者が、自動車業界の中で決定的な競争優位を獲得できるという形にゲームは変わってきている」と指摘し、SDVがゲームチェンジャーとなっていることを訴えた。
こうした状況に合わせて、人月当たりのコード生産量を最大化させたり、より大規模なソフトウェアチームを整えたりすることが望まれるが、それだけではこのゲームを勝ち抜いていく戦略としては不十分なようだ。より支配的な要因となるのが、洗練されたアーキテクチャを作り各パートが独自に速いスピードで進化できる骨格を整えることだ。そのアーキテクチャにより外部のプレイヤーの成果を自身に取り込めるエコシステムを充実/強化することが求められる。また、製品の開発スピードを上げるだけでなく本当にあるべき製品により早く行き着けるようにすることが重要となる。
こうした現状において、SDVに必要となる変革を進めることが望まれる。それに対してパナソニック オートモーティブシステムズは開発の変革が必須だとする。その要素として水山氏は「自動車の世代を超えて継続的に、資産を捨てることなくより速いスピードで進化させる。そしてそれをアップデートできる能力」「開発スピード自体を段違いに上げていくための抜本的な改革」「自分たちだけで製品を作るのでなく、エコシステムに助けてもらいながらより大きな価値を作っていけるような健全なエコシステムの形成」の3つを挙げた。
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