三崎未来電子は、新聞配達やデリバリー業務に向けた法人用電動バイク「L-noa」を発表した。ホンダなど大手4社が占める二輪市場に対し、耐久性が求められる法人市場で実績を構築し、将来の一般市場展開へつなげる方針だ。
三崎未来電子は2026年5月19日、シティサーキット東京ベイ(東京都江東区)で、法人向けの業務用電動バイク「L-noa(エルノア)」の発表会と試乗会を開催した。L-noaは排気量50cc以下に相当する原付一種区分となる。新聞配達やデリバリー業務など、地域のラストワンマイル物流を電動化によって支える、新たな業務インフラとしての展開を目指す。
現在、配達現場の足として広く利用されているガソリン仕様の原付一種は、2025年11月からの「二輪車排出ガス規制」への対応などを背景に、新車の供給が滞りつつある。ホンダは2025年5月に原付一種の生産を終了し、業界では構造的な車両不足が課題となっている。
こうした車両確保の懸念に加え、不安定なガソリン価格や人件費の高騰といった要因も重なり、配達事業者は厳しい環境に置かれている。三崎未来電子 代表取締役社長の三崎優太氏は、「新聞配達やデリバリー事業といった、地域社会に不可欠なインフラの存続自体が危機に直面している。電動でも、荷物をしっかり積めて小回りが利く車両が必要と考えた」と開発の背景を説明した。
「国内の二輪市場には、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキといった大手4社が存在する。新興メーカーである当社は、品質面などで厳しい目が向けられることは当然だ。だからこそ、より高い耐久性が求められるB2Bでしっかりと実績を作ってから、一般のお客さまにも手に取ってもらえるような車両開発につなげたい」(三崎氏)
三崎未来電子 二輪開発事業部の櫛田航汰氏は「初年度は1000台規模の導入を目指しており、それに対応できる生産体制も整えている」と説明した。当面は新聞配達やデリバリー業務といった法人向け(B2B)市場に特化して展開する方針だが、将来的には一般消費者向け(B2C)の車両開発も視野に入れている。
L-noaの動力源には、4kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと、専用設計のインホイールモーターおよびインバーターを搭載した。充電は家庭用の100Vコンセントに直接つなぐプラグイン方式を採用しており、残量ゼロから約7時間で満充電となる。1回の充電における航続距離は約155km(予測値)で、「約30kgの新聞を積載した実運用テストにおいても、80km以上を安心して走行できた」(日本新聞販売協会 副会長の高木安夫氏)という。
車体サイズは全長1940mm、全幅665mm、全高1090mmで、車両重量は128kgとなる。広いフットスペースと大型シートを確保して居住性を高め、頻繁な乗り降りが求められる配達業務での扱いやすさを考慮した車体パッケージとした。また、足で操作するフットブレーキを採用し、モーターの回生ブレーキと組み合わせることで、発進と停止を繰り返す配送業務におけるライダーの操作疲労を軽減する。
積載装備としては、フロントバスケットとリアキャリアを標準搭載している。また、早朝や夜間の暗所での積荷確認を支援する手元ライトや、狭い道での切り返しに用いるリバーススイッチ、USB電源ポートを備えている。荷台などの装備は、フードデリバリーなど別業態に向けたカスタマイズにも対応するという。
電動バイクならではの走行時の静音性に加え、静かなウインカーや動作音を抑えたサイドスタンドを採用するなど、業務における動作音の低減も図った。早朝の新聞配達や閑静な住宅街でのデリバリー業務において、近隣住民の生活環境に配慮した運用ニーズが高まっているためだ。
メーカー希望小売価格は67万円(税込み)。車体カラーは、標準色のピュアホワイトに加えて、アーバンレッド、ゴールデンイエロー、スレートグレーの全4色を展開する。すでにモニター車として配達店への提供を開始している。車両導入後のアフターサポートについては、初期段階は三崎未来電子のサポート部隊が直接対応し、普及状況に応じて全国の整備店ネットワークと連携する体制へと拡張していく方針だ。
試乗会で実際にL-noaに乗車した関係者からは、「音が静かで動きも滑らか」「座面が広いので老若男女を問わず乗りやすそう」といった感想が聞かれた。三崎氏は「見た目以上に機能性を最優先して開発した。今後のラストワンマイル物流を支える、新たな業務車両の選択肢にしていきたい」と語った。
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