以下は、日本ハラール協会のWebサイトより抜粋したハラール認証に関する記述です。
例えば、豚肉は当然ノンハラールであり、イスラム教徒が口にすることはできないのですが、豚肉以外の鶏肉、牛肉であればOKかといえば、必ずしもそうではありません。鶏肉、牛肉などにしても、イスラム教の作法に基づいて処理されたものしか、ハラール認証を得ることができないのです。
ハラール認証の認定基準は、どの国のハラール協会でも同じなのですが、実際は国によって「信頼度」が異なっています。イスラム教への姿勢、運用の厳格さなどの違いによって、この差異が生じています。こうした現象はある国において国内市場だけを対象にしたハラールビジネスであれば大きな問題となりませんが、複数の国・地域を対象とした輸出ビジネスを行う場合、大きな影響を持ちます。そのため、より多くの国でビジネスを行いたい場合は、より信頼度の高いハラール認証を獲得することが重要になってきます。
大手食品メーカーのネスレ(スイス)、ユニリーバ(オランダ/イギリス)は、多くのハラール製品を製造し、インドネシアをはじめ世界中のイスラム教徒を対象としたビジネスを行っています。一方で日系企業の取り組みはまだまだ限定的です。
全世界に存在する16億人のイスラム教徒をターゲットとしているのがハラールビジネスです。インドネシアに限っても、2億人×365日×3食がハラールフードの市場規模となります。国内経済の成長が続き、中間層の可処分所得が増加しているインドネシアはまだまだ成長段階にあり、今後、同国のハラール市場規模が拡大することは明白です。
前述の大手食品会社でも、2000年に味の素インドネシアのハラール違反疑惑、2012年にキユーピーマレーシアのキユーピー人形デザイン変更など、過去に問題が発生したケースがあります。このあたりはイスラム教徒ではない日本人の持つ感覚の限界かもしれません。
しかしながら、イスラム文化圏へのローカライゼーションを進め、日本製品の持つ高い品質、信頼性、食の安全というイメージを活用すれば、ハラールビジネスの後進国である日系企業でも、先行する多国籍企業と対等な競争力を獲得できるのではないでしょうか。少なくとも、新興国企業との競争で劣勢を余儀なくされている家電品や携帯電話端末よりは大きな可能性を秘めているように感じています。
今回のコラムではインドネシアにおけるビジネス展開の1つのポイントとなる「ハラールビジネス」について紹介しました。次回のコラムは、あらためてインドネシアのカントリーリスクについて考察してみたいと思います。
(次回に続く)
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