以前の状態を引き継ぐことができるため、コンピュータのメモリなどに応用されているフリップフロップ。今回はSR-FFについて解説。
前回の宿題【問題13】は、SR-FFの「タイムチャート」を作成するという問題でした。
皆さん解けましたでしょうか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、デジタル回路の基礎知識を身に付けましょう。
それでは、解答を発表します!
【問題12】の解説では、2つのNANDから構成される最も基本的なフリップフロップ(Flip Flop)について詳しく解説しました。今回解説する「SR-FF(Set-Reset Flip-Flop)」とは、このフリップフロップに少し改良を加えたものです。
図1は、SR-FFの論理記号です。ご覧のとおり、SR-FFには「S(Set)」と「R(Reset)」の2つの入力と、「Q」と「Q」の2つの出力があります。
ちなみに、フリップフロップの2つの出力が同じ値になることはありませんので、一方が“0”のとき他方は“1”、反対に一方が“1”のとき他方は“0”と、まるでシーソーのように動作することから、「フリップフロップ」と名付けられました。
次に、図2をご覧ください。これはSR-FFの内部構成を示したものです。【問題12】のフリップフロップの入力に“NOT”を付けることでSR-FFが構成されます。
表1にSR-FFの状態表を示します。
S=“0”、R=“0”のとき、次に取るべき値(Qt+1)は、いまの値(Qt)になっています。これは前の状態を保持することを意味します。
S=“1”、R=“0”のとき、Qが“1”になるのでSR-FFがセットされ、S=“0”、R=“1”のとき、Qが“0”になるのでSR-FFがリセットされます。
また、S=“1”、R=“1”ではFFが不安定になってしまいますので、SR-FFのSとRを、ともに“1”にしてはいけません(禁止)。
表1の状態表を基に、【問題13】のタイムチャートを作成した結果が図3になります。
【問題13】で、SR-FFの初期状態はQが“0”になっています。そこから動作を開始します。
以上のように“フリップフロップは以前の状態を引き継ぐことができる”ため、コンピュータのメモリなどに応用されています。
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